相続、民事信託、遺言の画像

最近話題の民事信託とは?

Q:最近、相続や事業承継の対策として「民事信託」というキーワードをよく目にします。

この制度はどのような制度で実際には使える制度なのでしょうか?

 

A:経営者ご自身の想いを形にする制度として活用が出来ます。

信託と言えば「信託銀行」「投資信託」のイメージが強いですが、そのイメージを一旦脇に置いて下記の説明文を読んでみて下さい。

信託(しんたく、英: trust)は、ある人Aが自己の財産を信頼できる他人Bに譲渡するとともに、当該財産を運用・管理することで得られる利益をある人Cに与える旨をBと取り決めること、およびそれを基本形として構築された法的枠組みを意味する。

Aを委託者(settlor, trustor)、

Bを受託者(trustee)、

Cを受益者(beneficiary)と呼ぶ。

信託された財産を信託財産と呼ぶ。

受託者は名目上信託財産の所有権を有するが、その管理・処分は受益者の利益のために

行わなければならないという義務(忠実義務)を負う。

<ウィキペディアより抜粋>

信託とは、簡単に言えば財産管理の手法の1つであると言えます。これが2007年の信託法改正により誰でも使える財産管理の手法となりました。従来は、信託銀行が受託者となり、信託報酬を得て営利事業として信託を行っていました。これを「商事信託」と言います。

この信託法改正により、営利目的ではない信託として「民事信託」が出来ました。「民事信託」とは、資産管理・運用について信託報酬を得る目的でなく、資産管理・運用のプロ以外にも委託が出来る仕組みです。さらに「民事信託」の中でも家族や親族を受託者として財産管理を任せる仕組みを「家族信託」と呼んでいます。

この「家族信託」を活用すれば、財産の管理・処分が出来る権限を与える「委任契約」や、本人の判断能力が低下した後の「成年後見人制度」、そして死亡後の「遺言」の機能をまとめて行う事が出来ます。

このために「民事信託」「家族信託」が相続(争族)対策に有効であるとして最近、脚光を浴びている要因の1つです。

例えば、

・障がいを抱えたお子様が一生困らない様にしたい

・内縁の配偶者に対して確実に財産を渡したい

・自分は経営者として事業が継続出来ないが、子供には事業を渡したい

・自分が死んだ後も最愛のペットの面倒を最後まで見て欲しい

などといったニーズに対応する事が可能です。これら委託者の想いを実現させるのが「民事信託」という手法です。

民事信託制度に関するご質問やご相談は下記より承ります。信託制度に強い司法書士をご紹介する事も出来ますのでお気軽にご相談下さい!

 

 

相続人が先に死んだら・・・

Q:私に何かあった時のために遺言書を書きました。

私には二人の息子がいますが、会社の後を継がせる長男にすべての資産を譲る内容で遺言書を作成しました。

万が一、私より先に長男が亡くなってしまった場合、遺言書の効力はどうなるのでしょうか?

長男の子供達である孫にすべての財産を渡す事は出来るのでしょうか?

教えてください。

 

A.遺言書の書き方と「遺留分」「特別受益」に注意が必要です。

通常の相続であれば、相続をする人が長男さんと次男さんだけであれば、お二人に半分ずつ遺産が相続される事になります。ただご質問の様に長男さんにすべての資産を渡す事を希望され、その様に遺言書を書いた場合には、長男さんに遺産を渡す事が出来ます。

この様な場合において、長男さんが先に亡くなられた後に相続が発生した場合の取扱ですが、過去の判例では遺言の内容を引き継いで長男さんのお子様へすべての資産を渡す事は出来ず、長男さんが亡くなられた時点で遺言は無効となってしまいます。

ですので、どうしても長男さん又は長男さんのお子様へ財産を引き継がせたい場合には、遺言書に「長男にすべての財産を引き継がせるが、長男が先に亡くなった場合には、長男の子供に財産を引き継がせる」という旨の記載をしておく必要があります。

ただ、法律上は相続人である次男さんにも一定の財産を相続する権利である「遺留分」がありますので、次男さんが遺留分を主張すればすべての財産を遺言書通りに希望者へ渡す事は出来ません。

この場合、遺留分として次男さんに渡さなければならない分を準備しておく必要があります。具体的には生命保険を使って保険金受取人を長男さんにしておき、相続が発生し遺留分を主張された場合には、受け取った保険金から次男さんに渡すという方法が考えられます。

ただし、この生命保険契約の全額を長男さんが受け取る内容にしていても、生前の状況によっては長男さんに対する「特別受益」とみなされて、全額を受け取れないケースも想定されます。

ですので、遺言書を書く場合には「相続人が自分より先に亡くなってしまった場合」の対処法と、実際に財産を引き継がせる場合に想定される「遺留分」と「特別受益」に対する対策も講じておく必要がありますのでご注意下さい。

 

遺言書を作成する際に注意すべきポイント

Q:事業承継対策の一環で税理士から遺言書の作成を勧められています。

遺言書を作成する際に注意すべきポイントはどの様なことでしょうか?

 

A.遺言を作成する際に必ず入れておく内容があります。

最近、相続で揉めない様にするために遺言書を作成する方が増えてきました。特に経営者の方々で、事業承継対策と合わせて遺言書を作成する方が増えています。

一般的な遺言書の作成については、ネットで検索していただくと色々と情報は出てきますし、司法書士に相談をされても良いかと思います。

ただ必ず入れておくべき内容にも関わらず漏れている内容があります。それは遺言書で財産を渡したい子供が自分よりも先に死亡した場合の取扱いです。

たとえば、「本人A」財産を渡したい「長男B(相続人)」Bには子供(Aの孫)があり、「次男C」がいるという状況だとします。そして、遺言書作成後にBがAよりも先に死亡し、その数年後にAも死亡しました。

Aが遺した遺言書には「Bに財産の全てを相続させる」と記載されていました。この場合、Aが死亡した時点ではBは既に死亡しているのですが、Bの権利はBの子供(Aの孫)に引き継がれるのでしょうか?

結論は「NO」です。最高裁判決でも、「Bの権利をB以外の者に引き継がせる意思は推認できない」ので遺言の効力は生じないとされた判例があります。

ただ事実として、BがAよりも先に死亡した場合でも、Bの権利はBの相続人に引き継がれる意思が確認できる「特段の事情」があれば、別です。ですので、遺言書を作成する場合は「被相続人よりも先に相続人が死亡した場合の取扱い」も絶対に記載しておくべきです。

しかしながら実際に作られている遺言書で、財産を引き継ぐ子供が先に亡くなった場合の取扱について記載されている遺言書は非常に少ないのではないでしょうか?子供が親よりも先に死亡することは非常に辛いことだと思います。実際に交通事故等で、残念ながらこういうことは可能性としてはあり得ます。

ここはかなり漏れている部分ですので、覚えておいてください。もし、既にこの旨のない遺言書を作成されているならば、作り直せばいいだけの話です。新しく作り直す訳ではありません。現在の遺言書を公証役場に持っていき、1文を追加したい旨を伝え、作成するだけです。

簡単な話ですので、もし既に遺言書を作られている方はぜひ見直して頂いて、記載がなければ記載をしておいてください。まだ作られていない方は、この点を注意して作成をしてください。

 

2015年5月25日(Vol.103)、2016年6月19日(Vol.193)、2018年4月23日(Vol.274)