セミナーに参加して聞いてきた話です。ていうか私のブレーンがこの専門家なんです。
とある業界のセミナーで話をされました。
これはとても参考になりました。
高齢者の財産の管理と承継に関する手段として、また高齢者が陥いりやすい問題解決の手段としてもよろしいかと思います。
これから日本は超高齢化社会を否応なく迎えます。(もうこのイントロはいらないと言われそうですね…)
現状、60歳の人が95歳まで生きる確率が約25%、100歳まで生きる確率が約8.8%というデータがあります。
日本の個人の金融資産の総額が約1800兆円あり、そのうち70歳以上の方が約600兆円を保有しています。
最近は、現役社長さんや会社内、個人の生活現場でも契約事項を取り仕切る人が高齢である場合も多くなってきたと思います。
その方が、一気に身体が悪くなることは少なくて、徐々に悪くなることが多いと考えられます。それが実際にやって来るとどうなのか?
認知状態に。(2025年には、認知症患者数が65歳以上で5人に1人の割合(700万人)にもなると予想されています。)
問題は、その状態は本人に自覚が無い、周りもわからない、そのまま契約行為をすればどうなるのだろうかということです。
この契約はあとから問題が発生しないのだろうか?これは気になりませんか。
認知症になったら資産が凍結してしまいます。
来年四月から改正される民法にこうあります。
「契約する人に意思能力がなかった場合、その契約は無効とする。」
高齢者を狙った詐欺行為が頻発していることからその高齢者を守るためなんでしょう。
でも、これが逆に働く事もあり得ます。この契約がそもそも無効ではなかったのかと、あとから取り消されること。相手方のまっとうな契約者にとってはそれは困ったことになりますね。
普段の生活のなかで、契約行為ができなくなるといろんな問題が出てきそうですね。
家を借りる、売る、修繕する、といった普通にハンコを押していたことがその人の持ち物であるにもかかわらず、できなくなる。結構大変ですよね。
家族信託とは?
ここに信託という制度が最近用意されました。
世の中には信託銀行がありますね。まぁ、それを家族でやるというようなことです。(少し違う?)
ご説明しましょう。
仮に、70歳の父がいます。財産が現金1億と土地があります。息子が三人います。
最近少し物覚えが悪くなってきたのでその財産の管理に自信がなくなってきました。
いろんな財産を管理しています。
鍵やカード、今はIDやパスワードまで管理しています。
そして財産の中にある不動産。
それを相続対策として土地の上に建物を建てて、貸してみようかと考えています。
その賃貸収入を老後の資金にしようと考えます。
こういうことが認知状態になってしまうとできなくなります。
それで、父は管理を長男に任せたい。それで、信託を組む。
父は財産の管理、運用、処分を委託する。
長男はそれを受託する。
そしてそこから得た収益を父が受益する。
それぞれ委託者、受託者、受益者といいます。
受託者は委託者の意向に基づいて管理して受益者に渡す。
これ、いいですね。安心です。
信頼できる長男に任せたい、ということを契約で守るということです。
そして父が亡くなり、賃貸収入の収益が今度は母の老後の生活資金として用意される。
信託の設定をしていないと、父が亡くなった後、半分の財産は母に移る。その財産はどうなるのか?もし、母も認知状態になるといつのまにかお金が大きく減っているかもしれません。それこそ高齢者を狙ったオレオレ詐欺に会わないとも限りません。
お金の管理は長男が管理して、次の受益者である母に毎月現金が届けられる。こういうことも可能です。
そして母が亡くなった後は父が決めた財産の帰属権利者に移る。
信託の一つの例を上に書きました。なかなか良い制度ですね。
しかし、ここでちょっと気になることが。
信託に繰り入れた財産を長男に承継させることができるわけですが、これは相続対策としてはどうなるんでしょう?
先ほどの財産は長男のものになります。というかなっています。そうすると他の子は不満が残ります。
父や母から相続でもらえるものが無くなりますから。
すると遺留分の侵害ということになりますよね。
なぜそういうことが起こるのか?なぜ長男のものになってしまうのか?
信託の設定の折に所有権は長男に移っているのです。
所有権が移っているのなら税金はどうなるのか?
不動産以外は、例えば会社経営者にとって相続の折、頭の痛い自社株はどうなのか。この辺は少し難しくなるので次の機会に譲ります。
興味ある方はご連絡くださいね。
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