相続発生後に対応しておくべきこと
先日、先代の父がなくなり、
これから相続に関する諸手続きを
行うことになります。
特に不動産が多いので、
不動産を相続するにあたって、
相続発生後から相続税申告期限までに
しておくべきことはどの様なことが
あるでしょうか?
具体的に教えてください。
A:相続発生後、申告期限までに出来る不動産関連の相続対策を解説します。
Ⅰ.相続物件の評価を少しでも下げる。
相続が発生すると、遺産分割協議が必要になります。遺産分割協議が整なわないと、小規模宅地の評価減や数々の特例、減免措置が受けられなくなります。また、遺産分割協議が整わない場合、すべての相続財産は相続人の共有になります。相続人の共有は避けたいものです。最低でも法定相続分として分割し評価を下げましょう。
*配偶者には自宅と高評価の不動産を相続させる。
・配偶者がいる場合は、二次相続の事も考え、とりあえず、居住地と高評価の不動産を配偶者に相続させて、配偶者控除を最大限利用するようにしましょう。子の相続人同士で争っている場合でも、お母さんがいる場合、お母さんが住んでいる家などは、お母さんに相続させることには納得するのではないでしょうか。遺産分割が間に合わなかった場合、配偶者の税額軽減などの適用が受けられなくなります。
*共有地は分割して相続人それぞれの不動産とする。
・土地の両側(二方、角地)に道路がある場合、それぞれ道路に面する土地に分割します。両面道路より、一方道路の方が相続税評価額は低くなります。道路の広さにより分割面積を増減することで評価を同じにすれば不平は出にくくなります。
・一方道路でも、専用通路を設けて手前、奥の2つに分割することで、奥の土地の評価は下げることができます。同じく、奥のほうの土地の面積が広くすることで不平を出にくくします。
*土地の測量はしておく。
・相続税の評価をする場合、財産評価基本通達において、地積は「実際の面積」としており、特に実測は求めていません。しかし、公簿と実測の面積が異なる場合当然、実際の面積(実
測)によって土地を評価することになります。地方の山や雑種地などの場合、「縄のび」と言って実際の面積のほうが大幅に多い場合がありますが、都心の場合、公簿より実際の面積が狭い場合も多いです。また、道路部分をセットバックして負担している場合や、角地の場合「隅切り」で道路負担をしている場合もあります。このような場合は当然、道路負担部分は控除されますので、路線価の高い地域の場合は、測量したほうが評価は下がる場合もあります。公簿よりも実測面積が広ければ、公簿で申告すればいいのですから。
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「延納」「物納」について教えて下さい。
相続税の支払いが出来ない場合、
「延納」や「物納」という制度があると
聞いた事があります。
どの様な制度なのでしょうか?
詳しく教えてください。
A: 税金は、金銭で即納することが原則とされていますが、相続税は、ほかの税金と異なり財産に対して課税することもあり、その納付が困難な場合もあることが考えられるので、延納または物納による納税の特例を設けています。
しかし、この特例の適用に当たっては一定に要件を満たす必要があります。
<延納>
・相続税額が10万円を超えること。
・金銭納付を困難とする金額の範囲であること。
・申請書を納付期限までに提出すること。
・延納税額に相当する担保を提供すること。
延納には以上の要件が必要です。また、延納期間により延納額に対する利子税がかかります。場合によると、民間の金融機関から借り入れしたほうが、金利が安い場合もあります。
<物納>
・延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度額としていること。
・物納申請財産は定められた種類の相続財産であり、かつ、定められた順位によっていること。
※物納財産の種類と物納順位
第1順位
1. 国債、地方債、不動産、船舶
2. 不動産のうち物納劣後財産に該当物
第2順位
3. 社債、株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券等
4. その他
第3順位
5.動産
なお、物納には
・相続税の納期限内に物納申請がされていること。
・物納申請財産は物納適格財産であること。
以上の要件が必要です。
物納できる不動産は…
物納できる土地は、「境界が確定している」「抵当権が設定されていない」「無道路地ではない」「市街化調整区域内の土地でない」などの条件があります。「貸宅地」でも物納可能です。不動産であれば、更地でも、貸宅地でも物納は可能です。
貸宅地が物納できかどうかの要件は。
・契約当事者が確定し契約内容が明確である。
・社会通念上、契約内容が貸主(地主)に著しく不利ではない。
・賃貸料が不当に廉価ではない。
・賃貸料が相当期間滞納となっていない。
・その他契約の円滑な継続が困難なものではない。
延納の場合でも、物納の場合でも、評価額以上で売却が可能な場合は、売却した方が有利です。「貸宅地」の場合、一般市場での売却はなかなか難しいですから、物納要件を満たしていれば、物納した方が賢明だと思われます。延納、物納、売却は、その時の情勢をよく考えて選択するのが良いと思います。
財産における不動産割合が高い方の相続税対策や不動産の有効活用などのご相談は、専門家をご紹介致しますので、弊社までお問い合わせ下さい!
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2016年2月1日(Vol.166)、2016年3月3日(Vol.174)
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