認知症 不動産の画像

Q:私の父は今年で80歳になるのですが、
この先の健康が心配です。

父が持っている古いアパートの入居者に
立ち退きをしてもらってから、
売却しようとしています。

最終的に売却できるのは3~4年後になるのですが、
もし父が「認知症」になったらどうなるのでしょうか?

 

 

A.不動産を売買したり、
賃貸借したりすることは契約行為で、
当事者双方の意思表示が必要になります。

不動産所有者(売主、貸主)が高齢になり、
「認知症」や「脳梗塞」等にかかると
意思表示が難しくなる可能性が高くなります。

意思表示ができないと判断される場合には、
家族といえども所有者本人の資産を勝手に売却したり、
賃貸したりすることはできません。

■「成年後見制度」

意思表示ができにくく、契約行為ができない本人のために、
「成年後見制度」があります。

成年後見制度は精神上の障害(認知症等)により
判断能力が十分でない本人が不利益を被らないように
家庭裁判所に申立てをして、
その本人を援助してくれる人を付けてもらう制度です。

■「成年後見制度」の問題点

成年後見制度は、本人の財産維持が大前提なので、
財産を維持しながら本人のためにのみ
支出することが求められるもので、
積極的な不動産運用(賃貸等)や合理的理由のない
換価処分(売却)、また、本人財産の減少となる行為等は原則できません。

法定後見の場合、
居住用財産の処分は家庭裁判所の許可が必要なので、
処分のための合理的理由が求められます。

任意後見の場合でも、家庭裁判所の許可は不要ですが、
合理的理由のない処分(売却、賃貸)

は後に利害関係者や他の親族等から
異議の申し立てが起こされる可能性があります

■「家族信託」を利用する

平成19年の信託法の改正により、
「利益を得る目的で反復継続」して信託を受託しなければ、
受託者に信託業の免許は不要になりました。

これにより「家族信託」が可能になりました。

家族信託の活用の一つには、
高齢になった親の財産管理・処分が容易に行えることです。

■「家族信託」のメリット

1.万一親の意思能力が衰えてしまった場合、
財産管理に必要な手続きについて、
その都度、成年後見人の許可を取る必要はなく、
信託契約の定めによって、財産管理ができます。

2.贈与税がかからずに、
子に財産管理の権利を移転することができます。

3.高齢化した親が「オレオレ詐欺」等の
犯罪被害に遭うことなく財産を維持できます。

4.信託契約の内容により特定の財産や
信託期間を自由に設定でき、
また、途中で契約内容を変えることができます。

不動産の売却や賃貸に関しても、
登記簿上の甲区(所有者欄)に「信託」登記され、
記載される受託者(子)が、
便宜上の所有者としてその責任と判断において、
受益者(親)のために信託目的の範囲内で自由な処分・運用ができます。

ただし、家族信託の場合、課税関係は
原則的には受益者(親)に課税されるため、
譲渡、相続の際の節税対策にはなりません。

固定資産税は受託者(子)が納税義務を負います。

親が所有している、古いアパート等を信託財産とすれば、
受託者(子)が売却や賃貸の手続きをすることができ、
その後、親が認知症になったとしても
そのアパートを処分したり、活用したりすることも、スムーズにできます。

親の財産はしっかり守り、活用しましょう。

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。

2016年6月6日(Vol.191)