登記の画像

不動産の登記記録(登記簿)から見る、取引先の信用度

Q: 長年取引をしている会社の業績が最近落ちてきており、又、最近支払い時期を早めてほしいと言われたりして、相手の信用度が心配です。

興信所に調査を依頼しても費用が掛かるし、何か簡単に調べる方法は無いですか。

 

A:取引先が不動産(本社、営業所、工場、倉庫、関連会社、代表者等の自宅等)を所有していれば、その登記記録(登記簿)から、会社の信用度を見る色々なことがわかります。

登記事項全部証明書(登記簿謄本)を法務局で請求してみましょう。不動産の登記記録(登記簿)は3つに分かれています。

ひとつの不動産の登記記録(登記簿)は「表題部」「甲区」「乙区」の3つに分かれています。「表題部」にはその不動産が土地の場合「所在地」「地目」「面積」等が記載されており、「甲区」には所有権に関する事項、「乙区」には所有権以外の事項、「抵当権」や「賃借権」などが登記されています。

・ 「甲区」から分る信用度

その不動産の所有者の履歴が分ります。会社の名義になっているのか、代表者個人の名義になっているのか、他の人との共有になっているかが分ります。また所有権が移転した原因(売買、相続、代物弁済等)が分ります。「差押」「仮差押」「所有権移転仮登記」等の登記がある場合は要注意です。「差押」の登記があるということは、すでに借入金等の返済等を滞らせて債権者が担保物件であるその不動産を処分しようと手続きに入っている場合であることなどが考えられます。

<「甲区」のチェック項目>

・ここ数年の間で、頻繁に不自然な移転登記がされている。

・「差押」「仮差押」「仮処分」等の登記がある。

・「原因」欄に「売買」「相続」以外の「譲渡担保」等の登記がある。

・相続登記がされ、所有者が複数いて共有になっている。(相続でもめている場合あり)

・最近、所有者が代表者個人から代表者の家族に移転している場合。

「乙区」から分る信用度

「乙区」には、「地上権」「賃借権」「抵当権」「根抵当権」等が登記されています。「抵当権」や「根抵当権」が設定されている場合、「共同担保目録」を請求すると、その借入契約で担保となったすべての土地、建物の所在地明細が見ることができます。

その「抵当権」や「根抵当権」から借入金の金額や借入時期、借入先(金融機関)等が分り、借入時のその不動産の担保評価も分かります。金融機関名も記載されていますので、そのランクで信用度にもなります。

<「乙区」のチェック項目>

・ 「抵当権」等の債権者が金融機関ではなく、個人名や金融機関以外の会社名のもの。

・ 複数の「抵当権」等が設定されており、その借入残高の合計が、現在の評価を大きく上回っている場合。

・ 最近「抵当権」等が移転しており、「原因」欄に「代位弁済」の登記のあるもの。

・「抵当権」「根抵当権」が抹消されないまま、所有権移転している場合。

ここに記載したものはあくまで目安であり、それで相手の信用度がないというわけではありませんが、上記のチェック項目に複数該当した場合や、あまりにも不自然な登記が見られる場合は、一度専門家に相談してみて下さい。

 

登記されていなくても課税?

Q: 先日購入した家なのですが、どうも購入した建物の裏にある土蔵(倉庫)が未登記の建物らしいのですが、固定資産税はしっかり課税されています。

どういう事ですか。

問題はありますか?詳しく教えて頂けませんか?

 

A:不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。

ただし、登記は表示登記(登記記録の表題部分)以外、必ずしも義務ではありません。新築時に建物登記をしてもその後増築したり、離れに家屋を新築したりした場合、新たに増築、改築の登記や付属建物の新築登記などをしない場合も多いようです。

しかし、こうした建物の新築、増改築を行って登記をしなかった場合でも、しっかり固定資産税が新たに課税されていることはよくあります。各市町村の固定資産課税課では、1月1日以降、しっかり航空写真や現地確認を行って、新たな新築、増改築を極力把握しています。

それでは、そもそも登記、課税される建物とはどういうものでしょう

①. 外気遮断性(屋根と壁があること)

②. 構築性(人工の材料で作られていること)

③. 用途性(住宅なら住宅の用途としての機能を備えていること、トイレ、キッチン等の有無)

④. 取引性(不動産市場において取引可能な建物であること)

⑤. 定着性(しっかりした基礎がある建物であること)

建物登記の場合でも、固定資産税課税台帳の登載でも、以上の要件を備えて、初めて建物と言えます。

未登記建物を売買することは問題ありませんが、建物全体が未登記だったり、現況と登記建物とが大幅に異なる場合、金融機関の融資受けられなくなることがあります。固定資産評価証明書等で課税台帳の登載の有無や所有者の確認は怠らないようにしてください。

固定資産課税台帳に登載されていない場合、その所在土地の所有者が必ずしもその建物の所有者とは限らず、真の所有者が特定できない場合もあり、問題になるケースもあります。売買取引をする場合には、売買契約書の物件表示欄にすべての建物を記載する必要があります。建物登記記録、固定資産課税台帳、建物建築確認通知書等をすべて確認して、それらに該当しないものがあれば、現地で寸法を概略で測り、構造・階数・屋根を記載したほうがいいでしょう。

<その他、建物登記に関するトラブル>

建物の登記に関するその他の問題点として、「建物滅失登記」をしていない建物がたまに見受けられます。

建物が建っていない更地を購入して、建物を新築して新築登記を申請したら登記が受け付けられなかったと言うケースです。そこの土地に以前、建物が建っていたのですが、取り壊した後、「建物滅失登記」を出していなかったので、そこの土地の建物登記は二重登記になるため、受け付けられないということです。

再度の建物新築登記を受け付けてもらうには、新たに「建物滅失登記」を申請したり、無駄な時間と費用が必要になります。建物が建っていない更地を購入する場合、土地の所在地の建物の登記記録もしっかり確認することが必要です。

 

不動産登記は必要か?

Q:先ごろ、自分の家を買いました。

住宅の購入代金以外に、不動産登記費用が思った以上に高かったのですが、私が常に住んでいる自宅について登記をする必要があるのでしょうか。

そもそも登記にはどのような意味があるのでしょうか?

 

A.あくまで不動産登記をすることは、権利であって義務ではありません。

不動産登記とは、我々の大切な財産である土地や建物の所在地・面積・構造・種類等

や、所有者の住所・氏名、権利等を法務局に備えられる登記簿に記載し、一般公開す

ることにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにして、不動産取引の安全

と円滑を図る役割を果たしています。

■「対抗力と公信力」

不動産登記には「対抗力はありますが、公信力はありません。」

(不動産の対抗力)

「対抗力がある」とは、登記を行うことで所有権や抵当権などの権利を第三者に法的に主張できることを言います。

例えば、Aさんが所有する土地をBさんとCさんに同時に売却した場合(俗に言う「二重売買」)には、原則として先に登記をした者が所有権を主張できます。

ただし、詐欺・脅迫により登記申請を妨げた者、不法占拠者、不法行為者、無権利者などに対しては、登記がなくても対抗できます。

また、相続登記に関しても同様なことが起こり得ます。

例えば、不動産を所有していた方が亡くなり相続が生じた場合において、相続人間で遺産分割協議がまとまらないうちに、相続人の1人が法定相続分の割合で共有名義の相続登記を申請してしまったとします。その後、その相続人が登記上取得した共有持分を第三者に売却してその第三者が登記を済ませてしまった場合、第三者は権利を取得したことを他の相続人に対抗(主張)できてしまいます。その結果、相続人と第三者との共有という状況が生じてしまいます。

(不動産の公信力)

「公信力がない」とは、登記を信じて取引をしても権利は守られないという事です。

例えば、Aさんが登記簿を確認して、ある建物の所有者がBさんであると信じて購入した場合であっても、実際はBさんが不正な手段で登記内容を変更していて、実際の所有者が別にいる場合には、Aさんは所有権を取得することはできず、実際の所有者の権利が保護されることになります。Bさんに購入代金を支払ってしまった場合は、Aさんの責任で返還請求を行わなければならないこととなります。

不動産を買うときには!

まずは登記があるというだけで売主を信じてはいけません。(公信力がない)

そして、買ったらすぐに登記をすることです。

登記をすることで他人に対して不動産の所有権を主張できます。(対抗力はある)

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。

2015年2月2日(Vol.72)、2015年7月2日(Vol.114)、2016年9月12日(Vol.202)