無記名のビール券は使途秘匿金か?
Q:当社では取引先などに中元・歳暮としてビール券を配布しています。
先日、顧問の税理士からビール券を配布した相手と日時を明確に記録していなければ「使途秘匿金」として処理をしなければならないので経費にできないと指摘されました。
誰に幾ら渡したかを記録することは相手に迷惑を掛ける可能性があるのでできれば避けたいのですが、記録しなければならないのでしょうか?
A.内容によっては記録をしていなくても使途秘匿金ではなく交際費として認められる可能性があります。
取引先へのお中元やお歳暮を送るケースは多くあると思います。その中でも、ビール券は受け取る相手にとっても喜ばれる商品の一つだと思います。基本的には、いつ・誰に・何を幾ら送ったのか?を記録しておく必要はありますが、この記録を失念してしまうケースも考えられます。
ビールや飲料・食品といったものであれば、配送を依頼した業者に注文履歴と配送履歴が残っているので記録がなかったとしても調べれば判明するでしょうから、特には問題ありませんが、ビール券の場合には配送だけでなく手渡しをするケースもありえます。
さらにビール券は換金性があるために、取引先やその担当者によっては非常に喜ばれるケースもあり、贈答用として活用をされている企業も多いのではないでしょうか?
このビール券を、いつ・誰に・どれだけ渡したのかをすべて記録をしておかなければならないのでしょうか?その記録をしていなければ交際費として経費にすることはできないのでしょうか?
実際にビール券を配布した記録をしておらず、その事を税務調査で指摘され、使途秘匿金に該当するとして経費を否認された納税者が、税務署と争った事例があります。この事例では最終的には納税者側の主張が認められて経費に計上できるとされました。
経費として認められたポイントは次の通りです。
・ ビール券を購入した時期が「中元」「歳暮」の時期として妥当な時期であったこと
・ ビール券の購入額が多すぎる事はなく、「妥当な金額」であったこと
・ 「使徒秘匿金」に該当するような公正な取引を阻害すると認められないこと
などにより、配布先の記載をしていなくても経費に認められた事例です。
ただすべてのケースにおいて、使徒秘匿金ではなく経費として認められるとは限りませんから、可能な限りにおいて記録しておくことが望ましいですが、記録出来ない(記録していない)からと言って必ずしも使徒秘匿金と認定される訳ではありませんので、気になる場合は一度、顧問税理士または所轄税務署と相談してみてはどうでしょうか?
経費精算を簡単にする方法
Q:当社では、営業社員が電車やバスなどの公共交通機関を利用する事が多く、交通系ICカードを利用しています。
この交通費精算がかなり手間になっているので会社でカードにお金を入れて渡す事も検討しています。
ただ管理が大変になるので、交通費精算がラクに出来る良い方法はありませんか?
A.各社システムを比較して導入を検討してみてはどうでしょうか?
最近では、首都圏だけでなく全国各地で交通系ICカードが使える様になってきました。特に外周りの営業パーソンが多い会社では、その交通費精算をどう行うか?は業務効率化の観点からも検討の余地があります。
大きく分けて、交通系ICカードの精算については、
・ 個人が所有、使用をして立替えた後に精算
・ 法人用カードを作って専属的に利用
という方法が考えられます。
非常に分かりやすて簡単なのは、個人が立替えて精算をする方式です。法人用カードを作った場合には、先に入金した金額は「預け金」としての処理が必要となり、ICカードの利用状況と残高をチェックする必要が出てきます。
この利用状況による「預け金残高」と「ICカードの実際の残高」の照合が合えば良いですが、ズレが発生すると原因の究明に手間が掛かる事と税務上の問題も発生する事となります。
ですので、管理面を考慮すると個人で所有して使用し、立替えたのちに経費精算で処理する方が良いでしょう。ですが、この経費精算の交通系ICカードの精算処理は件数が多くなる事がありますのでかなりの手間になります。
そこで是非検討して頂きたいのが、経費精算システムの導入です。「交通系ICカード 経費精算」と検索すれば、いくつかのシステムが表示されます。
このシステム導入にはわずかなコストが掛かりますが、リーダーにカードをかざすだけで記録データをエクセルで確認が出来るようになります。ただし注意点としては、1カード20件までの履歴しか残されていませんので、こまめにリーダーへ通して管理する必要があります。
交通費精算が多い会社では、このシステムの導入を検討されてみてはどうでしょうか??
※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
2016年10月17日(Vol.205)、2017年10月23日(Vol.251)
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