賃金の画像

再雇用時の高齢者賃金の定め方

Q: 当社は平均年齢が50歳を超えており、60歳の定年以降も給料を2割ほど下げて再雇用しています。

年金との兼ね合いもあると思いますが、60歳以降の賃金をどの程度まで下げるのがいいのか教えてください。

※百戦錬磨の人事コンサルタントが詳しく解説いたします。

 

A:高齢者雇用の際によく出るご質問です。

平成25年4月以降より、在職しながら受給できる「60代前半の在職老齢年金(報酬比例部分)」は61歳(昭和28年4月2日以降の生まれ)から支給されることになりました。

以後3年毎に1歳ずつアップし、最終的にはS36年4月2日以降の生まれの方は、この在職老齢年金は支給されません。

この制度の適用を受けることが出来る年齢層の社員が在籍している間に、十分に活用して内部留保に努めることが、企業活性化につながります。

<具体例>

1.高齢者雇用に頭を悩ませている社長が多いのが実情ですが、今後益々労働力人口が減少していく中で、企業の定年は7年以内にほぼ確実に65歳に延長される見通しです。従って、早期に65歳定年、70歳までの再雇用を実現するための高齢者雇用制度を早期に社内制度の中に組込み、活性化させた企業が今後有利になっていきます。減額の目安は、60歳到達時点の給与の50%~61%の間となります。(75%超の場合は不支給。(注)団塊の世代 (S22年~S24年生まれの人) ※現在65歳~67歳

S36.4.2以降生まれ(今年53歳)は完全65歳支給。60歳になる7年間の間に65歳定年が法制化されると推定。

①60歳到達時賃金が30万円、60歳以降の再雇用後、61歳時の賃金が18万円の高齢者の場合、仮に報酬比例の在職老齢年金額を10万円とすると、①高年齢雇用継続給付金が27,000円、②在職老齢年金が100,000円から①と②併給により18万円の6%を減額、89,200円が給付され、合計金額が116,200円となり、賃金18万円と併せて296,200円となる。 この金額のうち27,000円は非課税、89,200円のうち公的年金控除額部分は非課税となり、社会保険の対象額は18万円部分のみで、高齢者本人は、実質的には大幅な手取額アップになる。

②会社側も従来の労働力を確保し、尚且つ賃金が30万円から18万円にダウンしたことで月12万円+労働・社会保険料が浮いてくるので、年間約162万円のコストセーブが実現可能。 この浮いたファンドをどのように活用するかは経営者の判断となります。

<活用例>

①不足する退職金のファンドに充当

60歳からの在職老齢年金の支給は、昭和28年4月1日以前生まれの高年齢者にのみ認められた制度(S36年4月1日までは部分的に享受)であり、後輩の若い社員の退職金ファンドの捻出のために有効活用できる。

②来たるべき不況に備えて内部留保

第2次ベビーブーマーの最後の生まれがS49年ですが、これ以降より出生率が低下し続けているため、我が国中高年の購買力が低下していくことが予測されるその猶予は4~7年後との予測もある。

具体的な設計のご相談は下記のお問い合わせ先へお気軽にどうぞ。

 

正社員と契約社員の賃金格差について

Q:当社では、正社員と契約社員の給与について格差を設けています。

ただ最近では、「同一労働・同一賃金」という事も言われており、この格差は問題になるのでは?という事も聞きました。

正社員と契約社員で賃金格差をつけてはいけないのでしょうか?教えて下さい。

 

A.合理的な理由があれば格差は認められます。

最近、「同一労働・同一賃金」ということが言われています。政府は2016年12月20日、働き方改革実現会議を開き「同一労働同一賃金」の実現に向けたガイドライン(指針)案を発表しています。

これは「非正規」という言葉を一掃することを目指すという強い意気込みのもと、非正規社員の待遇差改善に向けて打ち出された指針です。現在は法的な拘束力のない「案」の段階ですが、今後はこの案をベースに法改正も進める方向で、正規、非正規にかかわらず働き方に影響して来そうです。

では、実際に現在の法律ではどうなっているのか?と言いますと、労働契約法やパートタイム労働法において、正社員と契約社員との間で「不合理」な格差は禁止されていますが、明確にどの程度の格差が不合理なのかは示されていません。

ですので、この格差は過去の裁判例などに基づいて考える必要があります。実際の裁判例をみてみると、全ての給与や手当を同一にしなければならないということではありません。

まず、正社員と契約社員の違いについては、正社員は長期雇用での就業に対し、契約社員は短期雇用を前提とする就業の為、賃金体系が異なることは企業の人事上の施策として、合理性が認められるとのことでした。

これを踏まえた上で、業務上の特性などを踏まえて正社員と契約社員の手当に格差をつけることはある程度は認められますが、「住居手当」「無事故手当」「通勤手当」などといった手当については、正社員と契約社員に格差をつけることに合理的な理由はないと判断がされています。

これらの事から考えられることは、

・  正社員と契約社員に格差をつけることは可能だが、個別手当の性格を考慮して細かく判断する必要がある。

・  業務の違い、責任範囲の違いなどを踏まえた上で、正社員と契約社員の区分けを明確にする必要がある。

・  これらを踏まえて正社員と契約社員との給与格差をきちんと決める必要がある。

逆に言いますと、これらのことを踏まえずに正社員と契約社員の賃金格差がある場合には、問題になる可能性が高いので、早急に是正する必要があります。

 

60歳後も同一賃金?

Q:当社もご多分に漏れず社員の高齢化が進んでおります。

60歳定年にはしているのですが、60歳を超えても働きたい・働いて欲しい社員が多くいますし、実際に60歳定年後の社員も多く働いてもらっています。

ただ60歳を超えた社員は1年更新の雇用と定年前の賃金とは格差をつけることを条件に再雇用を行なっていますが、

最近気になるのは、政府が言っている「同一労働・同一賃金」という言葉です。

これは60歳後も再雇用する社員の賃金は下げてはいけないという事なのでしょうか?教えてください。

 

A.賃金格差は認められますが、ポイントは処遇と責任範囲です。

平成24年に高齢者雇用安定法が改定されてから、60歳定年後でも継続雇用制度を行なっている場合には、本人が希望すれば65歳まで働いてもらう事が可能になりました。

この場合、多くの企業で悩まれているのが、60歳前と60歳後の役割と処遇です。その中でも60歳後の賃金設定に悩まれている企業は多いのではないでしょうか?

これは政府が発表している「働き方改革」の中に「同一労働・同一賃金」というものがあり、同じ仕事をしてもらうのであれば賃金は60歳後も60歳前と同一水準にしなければならないと考えている企業もあります。

現状では、同一労働・同一賃金は法律では定められていませんが、賃金格差が妥当と認められなければ不法行為とみなされる場合があります。

では、「60歳前と60歳後では、どのくらいの格差までなら認められるのか?」がポイントとなります。実際に60歳後の賃金を60歳前の金額より低く設定する事は一般的に行われています。

60歳前と60歳後では差異が生じる事は一定の合理性があるとされています。その理由は、長期雇用の正社員と1年更新の雇用とでは、会社側が要求する「働き方」は当然ながら異なるからです。

60歳以上の社員には人事異動に対する配慮もされると同時に、業務に対する責任も異なるので、妥当な格差であれば認められるというのが一般的です。

ここでポイントになるのは、雇用保険や老齢年金などの支給による「実質的な収入」がどの程度か?という点です。一般的には、実質的な収入が60歳前の80%程度であれば社会通念上は「妥当」とされています。

さらに前述の通り、60歳前の社員と60歳後の社員とで働き方を変えれば、賃金格差は妥当とされています。

ただし、同一企業で60歳後も雇用する場合には、60歳前と同じ業務を行なっていたり、責任の範囲も同じであると事情が変わりますので注意が必要です。人事異動や労働時間・責任範囲が「異なる」運用をしておく必要があります。

ですので、60歳後の社員に対しては明確に処遇を分けて従事させる必要がありますし、このことは文章できちんと配布して説明して理解をさせることが重要です。

これをしておけば十分なリスク回避となりますので、ここは押さえておいてください。

 

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。

2014年12月25日(Vol.65)、2018年1月15日(Vol.261)、2018年2月26日(Vol.266)