社員を解雇したいの画像

休職中の社員を退職させたいのですが・・・

現在、精神疾患で休職中の社員がいます。先日、本人より復職の申し出がありました。

ただ休職前と同じ仕事が出来るとは思えず、代替要員を確保したこともあり、できれば復職させずに退職をさせたいと

考えているのですが、退職をさせることは出来るのでしょうか?

 

A:ポイントは就業規則の記載内容と医師の診断書になります。

病気で休職している社員が、休職期間が終わる際に「就労可能」とした医師の診断書を取って復職するケースが多くあります。ただ、多くのケースでは復職しても「本当に治っているのか?」と疑問を感じることがあります。特に精神疾患については、復職の見極めは極めて困難であると言えるでしょう。

そのために主治医による判断が必要となるのですが、この主治医の判断だけを頼りにしていると好ましくない結果になることも想定されます。実際に過去の判例において、社員が主治医に懇願をして「就労可能」という診断書を提出したケースもあります。

この休職と復職については、就業規則上でどのような内容になっているのかが大きなポイントとなります。就業規則上では下記の点を明記しておく必要があります。

・ 休職期間

・ 復職出来なければ退職になること

・ 復職は会社が判断する

・ 会社は必要に応じて、主治医のヒアリングや会社指定の医師の診断を強制出来る。

これらの要件が整っていて、なおかつルールに従って適正に判断をした場合には、仮に退職となった社員から退職は不当だと訴えられても十分に対抗出来る可能性があります。特に近年では、社員の精神疾患に関するトラブルが多く発生しているため、休職と復職については、かならず就業規則で押さえておく必要があります。

なお主治医へのヒアリングや、会社指定の医師による診断を実施することは非常に重要で、社員の健康状態を正確に把握するためには、復職前にかならず実施しておきたいポイントと言えるでしょう。

就業規則の見直しや、社員トラブルに関するご相談は、労務問題に強い専門家をご紹介いたしますので、お気軽に弊社までご連絡ください。

 

試用期間終了後に解雇出来るか?

Q:当社では4月に中途社員を採用しました。

ところが、当社が期待した能力がなく不適格な人材であったことが判明しました。

試用期間を1ヶ月と定めていましたので、本採用をすることなく試用期間で退職してもらいたいと思っていますが可能でしょうか?

何か気をつけておくべきことがあれば教えてください。

 

A.試用期間後に本採用をしないためには3つの条件があります。

4月の新年度に入り、新卒・中途社員を採用された企業も多くあると思います。そして特に中途社員の場合には、即戦力として採用したケースも多いのではないでしょうか?

試用期間の終了を持って本採用をしないということは、契約上は「解雇」に該当すると考えられますので、解雇の要件を満たしていることがまずはポイントです。解雇要件は、

・ 解雇するにあたり、客観的でかつ合理的な理由が存在していること

・ 社会通念上、解雇が相当と認められること

の2つがあります。これらの要件を満たしていれば、解雇は可能とされています。

なお通常の解雇とは異なり、試用期間中の解雇は比較的ハードルが低いとされていますが、試用期間中の解雇のポイントは次の3つになります。

・ 担当する業務を明確にしているか?

・ 担当する業務に必要な資格やスキル、能力を明確にしているか?

・ 担当後に不具合が生じた場合、教育体制を整えているか?

特に中途採用の場合には、採用するにあたり、担当させる業務がある程度明確であり、その社員の経験や能力・資格を重視して採用をしているケースが多いと思います。ですから、事前に上記3点をしっかりと決めておいて採用することが重要となります。

3つ目の「担当後に不具合が生じた場合、教育体制を整えているか?」は、採用して業務を担当させた際に、その業務の具体的手順の指示がなく解雇した場合には、解雇が無効であると判断された裁判例もあるため、「業務を明確」にしてその業務に必要な「資格やスキルを明確にして」採用したとしても、担当させる業務について手順や指示を明確にしておく必要があるのです。

ですので、上記3点を明確にしていれば、試用期間終了後に不採用(解雇)することも可能になりますが、逆に明確になっていなければ、不採用(解雇)は難しくなります。

そのためにも中途社員を採用する際には、「どんな業務を担当させるのか?」「期待する人材像を明確にする」「採用後に不具合が生じた場合の対応策」を事前に明確にしておくことが重要となります。

 

業態変更につき解雇は出来るのか?

Q:当社では以前より行なっていた新規事業が好調になり、そちらの方をメインに展開をして以前からの事業を停止する事を考えています。

ただ、その際にネックになるのが以前からの業務に従事していた専門職です。

彼らは以前からの事業の専門家でそれを期待して雇用してきたのですが、新規事業は全く別のジャンルになるためそちらへの配置転換は困難です。

この場合、以前の業務の専門職を解雇する事は可能でしょうか?

 

A.4条件を必ず満たしておく必要があります。

事業展開や経済環境の流れの中で、取扱う商品やサービスが変わると、それらの業務を専門に担当している社員の処遇に困ることがあります。

一般的には、会社としてその担当者を別の業務へ異動させるのですが、その担当者があまりにも専門的なスキルの持ち主で、他の業務への異動が困難な場合は解雇?ということが頭をよぎることもあります。

実際に解雇は可能なのでしょうか?結論から言えば「一定の条件が整えば解雇は可能」です。

例えば経営不振や事業縮小など、会社側のやむを得ない事情で解雇をするケースもあり得ます。この場合の解雇を「整理解雇」と言いますが、これを行う場合には4つの条件が必要になります。

その4つの条件とは「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務」「被解雇者の選定方法の合理性」「解雇手続の妥当性」とされています。

1. 人員整理の必要性

どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があることが必要です。例えば「経営不振を打開するためには」は良いですが、「生産性を向上させるため」は認められません。

2.解雇回避努力義務の履行

希望退職者の募集・役員報酬のカット・出向・配置転換・一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしていることが必要になります。

3. 被解雇者の選定方法の合理性

解雇するための人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であることが必要です。

4. 解雇手続の妥当性

解雇の対象者および労働組合または労働者の過半数を代表する者と十分に協議し、整理解雇について納得を得るための努力を尽くしていることが必要です。

以上が一般的に整理解雇の4要件になります。実際に過去の裁判事例でも上記の4要件が充足されていれば、解雇した元社員からの訴訟でも会社側が勝訴している事例があります。

整理解雇について、従業員側の理由は無く、会社側の理由での解雇となるため、要件がはっきりしています。

ただし上記の4要件を1つでも満たしていないと、会社側が負ける可能性もありますので、実際に整理解雇を行う場合には、専門家にきちんと相談をした上で進める必要がありますのでご注意ください。

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
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2016年2月29日(Vol.173)、2017年4月24日(Vol.229)、2018年3月26日(Vol.270)