自社株評価が高過ぎて困っています
Q: 自社株対策はどうすれば良いですか?
顧問税理士を変えたところ、新しい税理士は決算後に当社の株価算定をしてくれました。
すると自社株の評価があまりにも高額になっていて驚きました。
会社を作って約20年、必死に頑張り会社を大きくしてきました。
真面目に納税をしてきた結果がこの株価となり、私に万が一の事があると後を継ぐ息子たちに多額の相続税が必要だと言われると虚しくなります。
自社株の評価を落として相続税を軽減したいのですが、何か良い方法はありませんか?
A: 自社株対策は3つに分類されます。
自社株の対策を検討していただく場合には、3つの手法を検討していただく事になります。
・ 株価を下げて生前贈与する
・ 自社株財産を減らす
・ 後継者の納税資金対策を行う
これらの手法を組み合わせて活用する事で、自社株の相続問題・事業承継問題を解決する事が出来ます。それぞれの手法について確認をしていきます。
1. 自社株の株価を引き下げて生前贈与をする
自社株の評価を引き下げるには、幾つかの手法があります。おもな手法を列記しますと、以下の通りになります。
・ 高収益部門を別会社へ事業譲渡する
・ 分社、分割など組織再編を行う
・ 損金性の高い生命保険を活用する
・ 生存役員退職金を支給する
・ オペレーティングリースを活用する
・ 役員報酬を増額する
・ 含み損のある資産を売却する
・ 不良債権を償却する
・ 支払配当金を少なくする
・ 借入金で不動産を購入する
2. 自社株財産を減らす
社員持株会を設立し、持っている自社株を社員持株会に放出する事で、相続税対象財産を減らす事が出来ます。
3. 後継者の納税資金対策を行う
生前贈与・役員報酬増額・生命保険の活用等により、自社株を引き継ぐ後継者に資金移転を行い、万が一の際に想定される相続税を賄えるだけの資産形成を行っておきます。
1から3の手法を上手く組み合わせる事で、自社株の対策を行う事が出来ますが、ここでご紹介したのはあくまでの一例であり、会社規模等によって効果のある対策とない対策がありますので、実際に対策を検討・実行される場合には、資産税・組織再編税制に詳しい税理士にご相談される事をオススメします。
資産税・組織再編税制に詳しい税理士をご紹介する事も出来ますので、自社株対策に関するご相談は弊社までお願いします。
自社株の評価方法が変わる?
Q:当社は創業社長がすべての自社株を持っています。
社歴が長く、顧問税理士からは自社株の価格が高くなっているので対策をしておかないと相続税が高くなると脅されています。
今年の税制改正で自社株の評価方法が変わると聞きましたがどうなるのでしょうか?
当社はさらに高くなるのか、低くなるのかどうなるのでしょうか?
A.中には株価が上がる企業もあると思われますので注意が必要です。
平成29年度の税制改正大綱におきまして、非上場会社の株価計算の方法が一部変更になる内容が盛り込まれています。具体的には「類似業種比準方式の見直し」です。
細かい内容は割愛しますが、従来の計算方法では「利益金額」が重視されていたのですが、今回の改正では「配当」「利益金額」「簿価純資産価額」の3つの要素が同じ様に算定される様になる内容が盛り込まれています。
今回の改正によるインパクトですが、今までは「利益金額」が重視されていましたので、高収益企業は株価が高くなる傾向にありましたが、今回の改正により過去の利益剰余金が積み上がっている会社の株価が高くなる傾向になると思われます。
多くの中小企業においては、株主に対する配当をほとんど行っていないので、利益剰余金が積み上がっているケースが多くあります。こういった企業にとっては、「利益金額」が重視されていた計算方式が変更となり、3つの要素が同じ比重で計算されると株価が高くなる可能性が考えられえます。
次に株価が高い会社の対策として、役員退職金を支給して利益を押し下げて株価を下げるという対策を検討していた法人にとっては影響が大きくなります。
従来の計算方式では、「利益金額」が重視されていましたので、役員への退職金支給により「利益金額」が減ることで、株価に与える影響も大きかったのですが、今回の改正により「利益金額」の株価に対する影響が減りますから、役員退職金支給による株価への影響も少なることになります。
ご質問者の方の会社がどのような計算方式で株価を計算する法人か不明ですから、今回の改正によって株価が高くなるか低くなるかは不明ですが、まずは顧問税理士にご確認を頂いて改正による影響がどの程度あるのかをご確認下さい。
なお弊社提携税理士による自社株対策の相談も受け付けておりますので、気になる方はお気軽にご相談下さい。
※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
2014/12/1(Vol.58)、2017/1/30(Vol.218)
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