ふるさと納税は社会貢献か?
顧問税理士から確定申告にあたり、「ふるさと納税をしていればその証明書もください」と言われました。
ふるさと納税は「納税」と言いながら見返り品を目的にしているみたいで個人的には嫌いです。
あの制度は社会貢献になっているのですか?そして、そもそも本当にメリットはあるのですか?
A:ふるさと納税は「地域振興」と「税効果」の両方のメリットがあります。
ここ数年、ふるさと納税が注目を浴びています。なお「ふるさと納税」という呼び名は正確ではなく、寄付による住民税控除というのが正確な表現です。
昨年末も駆け込み需要でかなりの納税があった様です。ちなみに統計データとして公表されている平成25年(2013年)は約13万件で約140億円の「ふるさと納税」があった様です。
このデータでご説明すると、全国の納税者が140億円の寄付を行い、各地方自治へ140億円が行き渡ったということになります。ご質問の様に、ふるさと納税では各自治体から送られてくる「お礼の品」が注目されていますが、多くの自治体では、その自治体内の名産品やサービスなどを「寄付金の30%から40%程度」受け取ることが出来ると言われています。
ということは、40〜50億円程度が各自治体内の事業者へ支払われた事となり、その事業者が申告をして納税をすることとなります。つまり自治体が寄付者に対してお礼の品を提供することで、地方と産業の活性化に繋がっていることになります。実際にとある自治体では、従来の住民税よりも数倍もの寄付を集め、その30%から〜40%の資金分が名産品やサービス購入に使われたことにより雇用創出や人口増につがった事例も出てきています。
ちなみにお礼の品を受領するのをお断りすることも可能ですので、どうしても気が進まないという方は、お断りするという方法もありますし、自治体によっては名産品やサービスのお礼ではなく、自治体内のボランティア活動へ寄付するというところもありますので、ご興味のある方は一度、お調べください。
最後に本制度のメリットですが、寄付をした翌年の確定申告において、寄付金額に対して20%の還付が受けられ、翌年の住民税納税額からも一定金額が控除されることになります。これにより所得金額にもよりますが、寄付金額より若干少ない金額の税金が安くなりながらお礼の品を受け取ることが出来るので、メリットがあると言えるでしょう。
2015年度にふるさと納税をした方は確定申告を忘れない様にしていただくことと、まだされていない方は今年の所得を見ながらぜひ寄付を検討されてみてはどうでしょうか?
ふるさと納税の返礼品は課税対象?
Q:ここ最近は毎年、ふるさと納税を行なっています。
所得税が安くなるのはもちろんですが、各地の名産品が届くのを楽しみにしています。
ところが、この返礼品を受け取った場合、所得税の課税対象になると聞きましたが本当でしょうか?
A.返礼品を受け取った場合には、所得税の課税対象となります。
ふるさと納税を利用されている方は結構多くいらっしゃると思います。税制上のメリットが受けられて、なおかつ納税した自治体からのお礼品が届くことが人気の制度です。以前ほどではありませんが、昨年末もふるさと納税に関する広告を目にする機会が増えてきました。
最近、課税当局はふるさと納税の返礼品に関する一時所得課税の申告漏れを指摘する準備をしているとの情報があり、調査官によると寄付をしている全市町村に、課税当局から問い合わせをした上で個人申告書との確認をするとの情報もあります。
ちなみに国税庁ホームページには、ふるさと納税の返礼品に関する一時所得課税の説明ページもあります。
【国税庁HPより抜粋】
「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係
【照会要旨】
A市では、市外に在住する者から1万円以上の寄附(いわゆるふるさと寄附金)を受けた場合、この寄附に対する謝礼として、市の特産品(5,000円程度)を送ることとしています。この場合の寄附者が受ける経済的利益について、課税関係は生じますか。
【回答要旨】
寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。なお、その年中に他に一時所得に該当するものがないときには、課税関係は生じません。
所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。
ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条《非課税所得》に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。
したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。なお、一時所得の金額は次のように計算します。
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
※その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
(注)
1 その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限られます。
2 AからBを控除した残額が50万円に満たない場合には、その残額となります。
【関係法令通達】
所得税法第9条、第34条、第36条、所得税基本通達34-1(5)、地方自治法第2条第1項
注記
平成29年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
ふるさと納税による返礼品を受け取っていた場合で、返礼品に関する一時所得申告が漏れていると、いらぬ加算税とが発生するリスクがあるという事です。
しかも実際に数百万円の寄付をして、返礼品の一時所得申告をしていなかったために追徴課税がされた事案もあると聞いております。
経営者の方々で、ふるさと納税を積極的にされている方を多く見かけます。その方々の確定申告書を拝見していないので何とも言えませんが、全員が一時所得申告をしているとはとても思えません。
ちなみに国税庁HPでは5,000円相当の返礼品とありますが、課税当局は、寄付金の30%を一時所得として申告をしている場合は調査対象としないらしいとの情報もあります。ですから寄付額の30%が50万円を超えない限りにおいては課税の対象とはなりませんが、返礼品を受け取った年度に生命保険等の解約金や満期金などを受け取っている場合で、他に一時所得があった場合などは合計で50万円となりますので要注意です。
昨年度の確定申告前には、ふるさと納税の返礼品を受け取られた方は顧問税理士へ相談しておいて下さい。
※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
2016/2/18(Vol.170)、2018/1/22(Vol.262)
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