税務調査の画像

税務調査が減っている?

Q.当社は、ここ5年間税務調査が入っていません。
今年くらいは、調査が入るのでは?と思っていますが・・・。
以前、突然調査が入り慌てた経験があります。

2013年に、税務調査に関する法律が変わったと聞きました。
それにより税務調査が減ったらしいとの噂も聞いた事があります。
私たちに影響があるのでしょうか?

22年間のキャリアを持つ『元国税庁税務調査官』が答えます。

 

A.税務調査変更のポイント大きく3つあります。

1.事前通知の明文化

税務調査は従来から電話で通知があったわけですが、今回、開始時期・調査内容などを事前に通知しなければならないと明文化されました。

加えて、税理士法30条の代理権限証書を提出した関与税理士にも通知しなければならないと法律で決められたのです。

つまり、税理士が関与していれば、税理士経由で通知があり、いきなり皆さんが驚かれるようなことは起きないわけです。

もっとも、不正行為が把握できなくなるなどの場合は、事前通知は省略できるとありますから、現金商売などで過去に売上除外を指摘された方は気を付ける必要がありますよ。

2.調査対象物の提出と留め置き

従来から税務署側に帳簿等の提示を求める権限は与えられていましたが、今回の改正で提出と留め置きを可能にする権限が与えられました。

提示と提出は何が違うのでしょう?提示は見せるだけですが、提出は税務署側に渡さなければならないわけです。加えて、留め置きとは税務署側に預かる権限を与えたものですから、かなり権限が強化されたと言えるわけです。

つまり、じっくり見られたくない帳簿や資料もへたをすれば、何日もかけて詳細に検査されることになってしまうわけです。

この、留め置きを拒否しようとすれば、日々の業務で対象の帳簿が手元にないと営業に支障が出るなどの合理的な理由が必要とされています。

皆さん、これからは帳簿などに余計な事を書かないでくださいネ。

3.修正申告に異議申立てはダメ

調査が終わると、税務署側から修正申告のしょうよう(業界用語:すすめること)が行われます。しょうようとは名ばかりで、実際は修正申告の提出を指示されるわけです。従来から自己の修正に異議申立てはできませんでしたが、今回の改正で異議申立てはできないものの、更正の請求はできるとはっきり説明する義務が明記されました。

つまり、「不満なら後日、減額を求める請求ができますよ。」と言わせることで、税務調査で納得できない修正申告をさせられる方がないよう、税務署側に歯止めをかける効果が期待できるわけです。

※この法律が適用されてから、手続き面の繁雑さから調査件数が減ったようです。納税者の皆さんにとって良い面も困った面もありますネ。 困ったときは専門家へ!

生命保険に関する税務調査が増えている?

Q:全国的に生命保険に関する税務調査が増えているという話を聞きました。
実際に私の知り合いの社長も指摘をされて多額の納税をしたと言っていました。
本当なのでしょうか・・・?

 

A:申告漏れに関する指摘が増えています。

正しくは、生命保険に関する調査が増えているのではなくて申告漏れに関する指摘が増えています。

具体的な内容としては、個人で解約金・満期金を受取った際に、払込保険料より解約金が少ないケースにおいて、一時所得申告が漏れているケースについて指摘をしているのが実態です。

ただお気付きかも知れませんが、生命保険契約について一時所得に関する納税義務があるのは、

払込保険料より保険金又は解約金が多いケースです。

今回、指摘が相次いでいるのは法人で保険料を支払っていた契約を個人に名義変更して、その後に個人が解約をして解約金を受取ったケースです。

この解約時の課税については平成23年の税制改正で明確にルール化されました。

(5)生命保険契約等に基づく年金又は一時金に係る雑所得又は一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除する保険料又は掛金の総額は、その生命保険契約等に係る保険料又は掛金の総額から、事業を営む個人又は法人がその個人のその事業に係る使用人又はその法人の使用人(役員を含みます。以下同じです。)のために支出したその生命保険契約等に係る保険料又は掛金で、その個人のその事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額又はその法人の各事業年度の所得の金額の計算上必要経費又は損金に算入されるもののうち、これらの使用人の給与所得に係る収入金額に含まれないものの額を控除して計算する(所令 183、184)。

《適用関係》この改正は、平成23年6月30日以後に支払を受けるべき

生命保険契約等に基づく年金又は一時金に係る保険料又は掛金について

適用されます(改正所令附則5、6)。

非常に分りにくい文章なので、簡単に説明をしますと、個人が受取った年金又は一時期のうち、個人が負担をしていない保険料は一時所得の計算をする際に控除出来ないという内容です。

例えば、保険料総額が1200万円で、法人が保険料を600万円負担し、途中で個人に名義を変更して個人が600万円の保険料を負担していたとします。

この契約で1000万円の一時金を個人が受取った場合、一時所得の計算時に控除出来るのは個人が負担した600万円だけになります。

一時所得の計算式は、

【1,000万円—600万円—50万円(特別控除)】×1/2

となり、175万円について一時所得課税の対象になります。

今回、指摘が相次いでいるのがこのルールに従わずに申告が漏れているケースについてです。

もし該当の事案がございましたら速やかに修正申告される事をオススメいたします。

 

負けない税務調査の対処法

Q: 税務調査が来るので不安です?どうすれば良いですか?
事業を始めて5年が経過し、ようやく軌道にのって順調になり始めました。
ところがそんな矢先に税務署より税務調査の連絡がありました。

初めて受ける税務調査だけに不安です。

顧問税理士は「そんなに心配しなくても大丈夫」と言われるのですが・・・

負けない税務調査の対処法を教えて下さい。

 

 

A: 正しく申告をしていれば大丈夫です。

コチラに何もやましい事がなかったとしても、警察官を見るだけで緊張をする事があるのと同じ様に、税務調査と聞くだけでドキドキする経営者は多くいらっしゃいます。基本的には正しく申告をしていれば、どっしりと構えて頂ければ大丈夫だと思います。

税務調査は、脱税の疑いがある納税者に対して強制的に行われる「強制調査」(通称マルサ)でない限り、一般的には任意調査であり申告した内容と実態に相違がないかを確認する作業であります。

この任意調査において調査官がよく見るポイントとしては、「売上除外」「棚卸除外」「経費の仮装」の3点と言われています。主なポイントについてもう少し詳細に解説をしますと以下の通りになります。

・ 現預金管理状況
現金受取りと支払が実際の現金残高と合っているかどうか?さらにはどの様な取引先からどの様な方法で受発注し、納品・決済しているか?という現金・預金の流れを確認します。

・ 売上管理状況
売上計上時期が適切に処理をされているか?さらには自家用で商品を消費した場合に、適切な処理がされているかどうか?を確認します。

・ 棚卸資産状況
棚卸在庫を過少、過大に申告していないかどうか?またはそれらに関する帳票の改ざんはないかどうか?見積書・請求書・納品書・領収証がすべて揃って適正に処理がされいるかどうか?を確認します。

・ 人件費の管理状況
従業員の源泉徴収漏れや架空人件費の計上がないかどうか?を確認します。

・ 収入印紙の未貼付
収入印紙の貼り忘れなどによって、印紙税の未納付がないかどうか?を確認します。

主な項目を列記しました。これらについて、適正に処理がされていれば、何も指摘される事はないでしょうし、仮に処理が漏れていたりミスがあった場合には、修正をする必要はありますが、本来正しく処理すべきものを処理が出来ていない事を指摘されるだけの事なので、その点については冷静に受け止めるしかないでしょう。

一番ポイントになる点は、こちらが正しく処理をしていたとしても、税務署側との見解が異なる事により指摘をされた場合です。税務署側は申告内容を修正する様に持ちかけてきますが、それが本当に修正すべきなのかどうかは顧問税理士としっかりと打合せをして下さい。さらには、顧問税理士も修正申告をすべきだと言った場合についても、本当に修正申告が必要なのかどうかは、違う税理士の意見も聞いて意思決定をされる事をオススメします。

税理士によって税務調査に対する対応力やスタンスが全く違いますので、1人の税理士の意見だけに耳を傾けると適切でない対応をしかねません。病気の治療について主治医以外にも相談をする「セカンドオピニオン」という考え方は、税理士にも当てはまります。

セカンドオピニオンの税理士を希望される場合や、税務調査に強い税理士のご紹介の希望など、何かございましたら弊社までお問い合わせください。弊社ネットワークの中から最適な税理士をご紹介いたします。

 

税務調査の修正申告には応じない方がよい?

Q: 修正申告をする様に勧められましたが・・・

先日税務調査があり、その結果幾つかの処理について調査官より指摘を受けました。
それらの処理について修正申告をする様にすすめられ、税理士も修正申告をしてはどうか?とすすめられています。
修正申告には応じた方が良いのでしょうか?

一部の人は、修正申告はしない方が良いという意見もある様ですが・・・

 

A: 修正申告をすると異議申し立てが出来なくなります。

税務調査の結果、税務署からの指摘事項がある場合、修正申告に応じる方法と更正処分を受ける方法があります。

修正申告は、既に提出した申告書の税額に不足額があったときや欠損金の金額を過大に申告したときに行います。税務署側と納税者・税理士が、指摘された修正内容について話し合い、納税者が納得したときは修正申告に応じることになります。ただ修正申告に応じると、異議申し立ての権利を放棄する事になってしまいます。一度提出した修正申告書については、後日不服が生じたとしても異議申し立てが出来なくなります。そのために税務署側は、なるべく修正申告を出させる様に仕向けると言われています。

これに対して更正処分とは、納税者が税務署の指摘事項に納得できず修正申告に応じない場合に税務署がとる処分です。税務調査が終了してから数ヵ月後に税務署から「更正通知書」が送られ、更正後の金額や税額・追加税額、更正の理由などが記載されています。なお、法律に適合した更正の理由がなければ更正できないので、更正の理由はしっかり検討すべきです。

そして、税務署長等が行った更正処分について不服があるときは、「異議申立て」をすることが出来ます。異議申立書を受理した税務署長等は、その処分が正しいかどうか調査・審理し、その結果を「異議決定書謄本」により納税者へ通知します。

異議申立てに対する税務署長等の判断に不服がある場合には、国税不服審判所長に「審査請求」をすることが出来ます。国税不服審判所長は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を「裁決書謄本」により納税者に通知します。

さらに国税不服審判所長の判断になお不服がある場合には、裁判所に提訴することが出来る様になります。

税務調査に関する流れは以上になりますが、重要なのは修正申告をするとその後の異議申し立てが一切出来なくなりますので、修正申告は安易に行わずに顧問税理士以外の税理士にも相談をして慎重に検討した方が良いでしょう。

弊社では税務調査に強い税理士のご紹介や、セカンドオピニオンとして顧問税理士以外の税理士への相談希望なども承っております。ご相談は無料ですのでお気軽にどうぞ!

税務調査で指摘されそうになったら・・・

Q: 顧問税理士より連絡があり当社にも税務調査が来る事になりました。

なお事前の連絡により税務署が調べたい内容がある程度わかり、
その詳細を確認すると確かに間違えて申告をしている事が発覚しました。

税務調査が来れば確実に指摘をされそうなのですが、どうすれば良いのでしょうか?
事前に修正申告を行った方が得でしょうか?損でしょうか?

 

A:明らかに申告内容に間違いがある場合には、早急に修正申告をした方が良い場合が多いと言われております。

税務調査において、間違いを指摘され修正申告を行う場合、内容によっては過少申告加算税または重加算税が適用される場合があります。ですが、税務調査が行われる前や、税務調査の途中でも具体的な間違いを指摘される間に修正申告を行えば、過少申告加算税ならびに重加算税が適用されるのを回避することが出来る場合があります。

具体的に税務調査について定めた「国税通則法」には以下の様な規定があります。

修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。 (国税通則法65条5項)

この規定につきましては、一般的には「税務調査官が申告についてミスがあった事を発見する」または「そのミスが立証出来る資料を発見した」ことにより「ほぼ間違いなく税務上否認される事が確実である」状況での修正申告であれば、過少申告加算税ならびに重加算税が適用されますが、それ以外であれば過少申告加算税ならびに重加算税の適用はまぬがれると言われています。

ちなみに、過少申告加算税は納税額のうち、納税額と50万円とのいずれか多い金額までの部分は10%、納税額のうち、納税額と50万円とのいずれか多い金額を超える部分については15%が課せられます。さらに重加算税となりますと、期限内申告をしている場合でも35%が、仮に期限内申告をしていなければ40%もの追徴税額が課せられますので、間違いを事前に見つけた場合には顧問税理士と早急にお打ち合わせの上、修正申告をされた方が良いでしょう。

なお弊社では税務調査に強い税理士と提携をしております。もし「税務調査に関して顧問税理士以外の意見を聞いてみたい!」「税務調査の部分だけ対応をしてほしい」などのご要望がございましたら、ご紹介をさせていただく事も可能です。

何かご相談がございましたらお気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。

 

税務調査を先送り出来るのか?

Q:先日、顧問税理士より連絡があり当社に税務調査が来る事になりました。
ところが7月から9月は、弊社では繁忙期でとても税務調査に対応している時間はありません。

税務調査を先送りする事は出来るのでしょうか?

 

A:業務多忙により税務調査を先送りする事は可能です。

税務調査が行われる際には、事前に税務署より連絡が入ります。この事前連絡の段階で税務調査を受ける側もしくは立ち会う顧問税理士が多忙のため日程を調整する中で、3ヶ月程度も先の日程で調査日を決める事は可能です。これはあくまでも担当する税務署員との調整ですので特に問題はありません。

あとは、事前連絡の段階で決めた日程がやむを得ない理由で変更をする場合はどうでしょうか?この場合は、調査官の心証が悪くなる可能性があるので、避けたいところではありますが、例えば調査を受ける側や顧問税理士が病気やケガ等による入院や、身内・親族の葬儀などの一身上でやむを得ない事情がある場合は日程の変更が出来るとされています。

さらには、税務調査を受ける側の業務上の理由など、やむを得ないと判断出来る事情がある場合には日程の変更が出来るとされています。

なかなか税務署にキチンと主張をしない税理士もいるようですが、税務調査のタイミングが業務上支障を来すようであれば、時期や日程の変更は主張出来ますので、顧問税理士にしっかりと依頼をして見てください。

なお税務調査の対応について、顧問税理士以外に相談をしたいと依頼を頂くケースもあります。顧問税理士以外の税理士(特に税務調査に強い税理士)をご紹介する事も可能ですので、お気軽にご相談下さい。

 

2016年以降の税務調査は要注意?

2015年末に発表された税制改正で税務調査に関する点で変更があったと聞きました。
税務調査が厳しくなると聞いたのですが、具体的には何がどう変わるのでしょうか?

 

A:2015年12月に平成28年度の税制改正が発表されました。
その中で興味深いのが「税務調査【前】の修正申告」についてです

現在は、税務調査の事前連絡があった際に税務調査【前】に金額の大きなミス、重大な間違いが分かったので税務調査【前】に修正申告書を提出した場合、原則として、過少申告加算税はかからない事になっています。

ですので、過少申告加算税がかかる場合でなおかつ、「隠ぺい」「仮装」があったと判断された場合にのみ重加算税が適用されます。結果として、税務調査【前】に修正申告書を提出すれば、過少申告加算税も重加算税も原則として、かからないのが現在の税制です。

これが今年度の税制改正でどう変わるのかというと、税務調査【前】でも、修正申告による納税額について、過少申告加算税5%を課すという点と50万円を超える部分に関しては、さらに5%を併課(期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い額を超える部分について、5%上乗せして10%)という点になります。

なおこの場合において、隠ぺい、仮装に該当すれば、重加算税の対象にもなります。ちなみに、この改正は「平成29年1月1日以降に申告期限が到来する事業年度」から適用になります。

「税務調査の事前連絡」と書きましたが、正式な「税務調査の事前連絡」は税務調査の日時、場所などの「様々な項目」を事前に通知することが法律で定められています。

しかし、ここで書いた「税務調査の事前連絡」は正式なものではなく、税務調査を行う旨・税務調査の対象となる税目・税務調査の対象となる期間の「簡易的な連絡」も対象になる点が注意点です。

結果として、正式な「税務調査の事前連絡」【前】であっても、前述の3項目の連絡があった場合は、その後に修正申告書を提出しても、過少申告加算税(重加算税)の対象になる、ということです。

繰り返しになりますが、現在の税制では、税務調査前に修正申告書を提出すれば、原則として、過少申告加算税(重加算税)はかかりません。これが 「平成29年1月1日以降に申告期限が到来する事業年度」から改正になります。

当然、上記の事業年度から対象になるということは、平成28年に行なわれる税務調査はこの対象にならないということですから、今年の調査であれば事前に間違いに気がつけば修正申告をしても良いですが、来年以降はくれぐれもご注意ください。

 

税務調査が来ない書面添付制度とは?

Q:顧問の会計事務所より「書面添付制度を利用すれば税務調査が来なくなりますので利用されませんか?」と提案をされました。

同時に顧問料の引き上げも提示されどうしようか迷っています。

本当に税務調査が来なくなるのであれば採用しても良いと思いますがいかがでしょうか?

 

A.完全に税務調査がなくなる訳ではありませんが、税務調査に関する負担は減少します。

まずは「書面添付制度」というものについて概略を説明します。書面添付制度とは、税理士法で規定されている制度で『申告書の作成に関して計算、整理、相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付して提出することができる。(税理士法33条の2)』とされています。

この書面を添付するためには、申告書を作成する税理士側で緻密な精査が必要となりますので、税理士側の負担も大きくなりますから、書面添付を行う際には追加料金が発生するケースが多くあります。

次にこの書面添付を行った場合については、

『国税当局(税務署等)は調査の事前通知を行う前に、まず税理士に対し、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない。(税理士法第35条)』

とされています。

すなわち、税務署は書面添付がされている納税者に対して税務調査を行う場合には、事前に通知をした上で、税理士より意見を聞かなければならず、この意見徴収において疑問点が解消すれば、税務調査が行われないケースがあります。

この点を捉えて「税務調査が来ない」と言われている所以ですが、税務調査が行われないとは限らない点は要注意です。税理士より意見聴取を行っても、税務署側の疑問が解消されない場合には通常と同じ税務調査が行われることになります。

ただし、書面添付がある場合は税務調査を通知する前に税理士に対して意見聴取を行わなければならないので非常に手間がかかるので、仮に同じ内容の申告書で書面添付ありと書面添付なしの申告書がある場合は、書面添付なしの申告書の納税者が調査対象に選ばれる可能性が高いとされています。

書面添付制度を活用すれば、税務調査に関する負担は多少省ける可能性はありますが、税務調査が省略される訳ではありませんので、導入するか否かは費用対効果をみてしっかりと検討してください。

 

税務調査で指摘される割合は?

Q:当社では、個人所有の不動産を管理する別会社を作って管理をしています。

個人の所得税節税も兼ねて、この別会社の不動産管理法人へ管理委託料を支払っています。

この管理委託料の割合はどのくらいが適正なのでしょうか?

節税を考えると少しでも多く管理料を支払いたいのですが・・・

 

A.一定の水準を超えると税務上のリスクが高まります。

賃貸マンションやテナントビルを所有・経営している方も多くおられると思います。その個人で所有している不動産を管理する法人を作って、節税をしているケースがあると思いますが、この不動産管理法人へどの程度の水準までなら、利益移転をさせても問題はないのでしょうか?

はじめに不動産管理法人についての手順とメリットを整理しておきますと、

<手順>

・ 個人所有の不動産を管理する法人を設立。
・ 個人と法人とで業務委託管理契約を締結し、個人は法人に対して管理料を支払う。

<メリット>

・ 不動産を所有している個人にとっては、委託料という経費が増えるので節税になる。
・ 不動産管理法人の役員に親族を就任させて、役員報酬で分散して支払えば所得税の節税と資金移転が可能。
・ 所得税より法人税の方が概ね安い。

という事になります。

この委託料についての過去に争われた事例を見ていると非常に興味深い事です。
下記における「割合」とは、不動産関連収入における委託管理料の割合です。

事案A

・ 申告時の割合:50%
・ 適正とされた割合:15.4%

事案B

・ 申告時の割合:36%
・ 適正とされた割合:6%

事案C

・ 申告時の割合:73%
・ 適正とされた割合:11%

事案D

・ 申告時の割合:46%
・ 適正とされた割合:9%

事案E

・ 申告時の割合:34%
・ 適正とされた割合:14%

上記事案を見ていると、申告時の割合が30%を超えると、税務調査などで指摘をされて争われる事案が多くなることがわかります。

では、実際にどのくらいの割合にすれば問題がないのか?は業務委託契約書の中でどのような業務を委託するか?によりますから、一概に何%なら大丈夫ですとは言えません。ただ一般的に言われているのは15%前後であれば大丈夫という税理士見解もあるようですが、前述の通り実際の業務内容によります。

ですから、実際には顧問税理士や所轄税務署と打ち合わせの上で決めることが重要ですが、一つの目安として20%を超える業務委託料は指摘されるリスクがありそうなので注意が必要です。

 

 

税務調査に備えて・・

Q:3月の確定申告時期が終わると税務調査が増えると顧問税理士から聞きました。

税務調査に対して注意しておくべきことがあれば教えてくだい。

 

A.3月15日で確定申告が終わりますと、これからは税務調査が多くなる時期になります。
国税庁が発表した税務調査に関する調査報告によりますと、平成27年度の税務調査の状況は以下の通りになっています。

・ 調査があった件数:約9万4千件
・ 修正申告等に至った件数:約6万9千件(約73%)
・ 重加算税の対象となった件数:約1万8千件(約19%)

このデータを見ますと、調査があっても約2万5千件の約27%は修正申告に至っていないんです。という事は、税務調査に入られたからと言って必ずしも税金を払わなければならないという事がわかります。

特に税務調査に関しては、「お土産を持たせる」という事がまことしやかに言われています。これは、税務調査に来た調査官は何も指摘出来ず手ぶらで帰れないから、少額の納税で済む指摘事項をわざと作っておいて、税務調査を早く終わらせると良いと聞いた事はありませんか?

実はこの考え方は全く意味がありません。税務調査に来る際は、やみくもに来るわけではなく、事前にある程度の指摘事項を明確にした上で調査に来ますので、わざと作った少額の指摘事項に気がつかないケースもあるからです。

調査官はそんな小さな指摘よりも、大きな税額が取れる否認事項を徹底的に調べるつもりで来ますので、この様な「お土産」という考え方は全く意味がありません。

事実、前述の通り約27%の法人は何も指摘されず修正申告をしていない訳ですから、無駄に「お土産」を用意する必要はありません。

次に注目すべきは、約20%が重加算税の対象となっているという点です。この重加算税が適用される要件は、「故意に」「仮装(ごまかす)」したり「隠ぺい(隠す)」することとされています。故意にごまかしたり隠したりしていると認定されると重加算税の対象となるのです。

しかもこの「ごまかし」たり「隠し」たりしている事の立証責任は税務署側にありますので、税務署側がそう認定する必要があるのですが、ここで冷静に考えて見てください。5人に1人という高い割合で、ごまかしたり隠したりする社長がいるか?ということです。

実際にそんなに悪い事を考えて実行している人は多くないと思います。ですがこの様に約20%もの高い割合で重加算税が適用されているかというと、税務調査において調査官がとりあえず重加算税を主張した事に対して、税理士や納税者側が安易に認めてしまっているケースが多いと思われます。

なお一度でも、重加算税を認めてしまうと、税務署側で「要注意法人」として履歴が残り、後々も頻繁に調査が来て面倒なことになりますので、くれぐれも安易に重加算税を認めない事が重要です。

調査が入っても、お土産の準備は全く不要ですし、何かを指摘されて「重加算税」と言われても、納得できるまで主張・対抗することが重要です。

もし今の顧問税理士に不安を感じられる方は、顧問契約を変えずに「セカンドオピニオン」として対応できる税理士のご紹介も出来ますので、春の税務調査を前に一度検討してみてはいかがでしょうか?

 

税務調査のお土産は必要か?

Q:先日、当社に税務調査が入り一部経費として認められない項目があると指摘されました。
調査官は「これを認めてくれれば終わります」と言っています。
指摘された金額は小さく、このくらいなら「お土産」として認めた方が良いと顧問税理士は言ってきました。
私としては、どうも納得が出来ないのですが、このくらいの金額なら・・・と思わなくもありません。
果たして「お土産」は必要なのでしょうか?

 

 

A.税務調査においては「お土産」ではなく、事業に使った経費かどうかの事実が重要です。

税務調査が行われた際に、軽微なミスを指摘させて修正申告を行い、少額の追徴税金を支払う、いわゆる「お土産」を持たせた方が良いと考えている経営者の方が少なくありません。

これは正しくない考え方であり、 あくまでも事業に使っているかどうか?経費として正しいかどうか?が重要なポイントです。実際に国税庁のデータによると、税務調査が行われても約30%は指摘事項がないというのが事実です。

税務調査を早く終わらせたいが故に、税理士も「これくらいの指摘で済んだらラッキー」という様な認識で、税務署側の指摘を安易に認めるケースもあります。ですが、すでに書きました様にあくまでも「経費として正しいかどうか?」がポイントです。

実際に高級外車のスポーツカーが、事業に使われているとして経費計上が認められているケースもあり、金額の大小が問題ではありません。事業に使われていて経費として適正かどうか?がポイントになります。

ですから、金額の大小や税務調査を早く終わらせたいではなく、指摘された項目が、事業に使った経費かどうか?であり、それを納税者側として納得するかどうか?をしっかりと考えなければなりません。

もちろん、税務署側が「これを認めてくれたら調査を終わらせます」と言われた際に、「このくらいの金額なら」と納得をして、税務署側の主張を受け入れるという考え方もあります。これはあくまでも納税者側の判断です。

最終的なご判断は納税者側が行うことではありますが、実際には「事業に使ったものかどうか?」「本当に経費なのかどうか?」がポイントであることは忘れないでください。

 

 

税務調査では全て見せる必要がある?

Q:先日、弊社に税務調査が入りました。

その調査官が、取引先との交渉履歴等を確認したいので、全てのメールデータを

提出してくださいと言われました。

全データとなると膨大な量である事と、調査に関係のない内容も多く含まれるので断ったのですが、実際には提出しなければならないのでしょうか?

教えてください。

 

 

A.必要な情報だけを提出すればよいとされています。

税務調査があった際に、調査官からメールのデータを全て提出する様に求められた場合、提出しなければならないのでしょうか?

取引先との連絡や、発注・納品・請求についてメールを活用することが一般的になっており、売上や経費の計上時期を確認するため、税務調査においてメールのデータ提出が求められるケースが多くあります。

この場合、調査官からの依頼に応えて全てのメールデータを提出しなければならないのでしょうか?取引先との守秘義務契約を理由に断ることは出来ないのでしょうか?

まず税務調査においては、調査権限がありますから守秘義務契約が存在していても、情報の開示を行う必要があります。

そして調査官からの質問に対しては回答しなければならない義務はありますが、調査対象外のデータを含む全てのデータを提出する必要はないとされています。

ちなみに国税庁ホームページにはこんな記載があります。

(以下、国税庁ホームページより引用)

問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。

帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。

一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。

(注) 提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。

(引用終わり)

ですので、調査官が「メールのデータを全て提出して欲しい」とか「パソコンを触って操作をさせて欲しい」という依頼には応える必要はなく、該当する情報だけをピックアップして提出すればよいとされています。

実際に、メールの全データ提出やパソコンの操作を依頼してくる例があると聞いていますので、その様なことがあった場合には参考にしてください。

 

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。

2014/4/28(Vol.4)、2014/5/8(Vol.6)、2014/7/10(Vol.24)、2014/9/1(Vol.36)、2015/4/9(Vol.91)、2015/8/24(Vol.127)、2016/1/25(Vol.164)、2016/4/7(Vol.183)、2016/12/19(Vol.213)、2017/3/27(Vol.225)、2017/8/28(Vol.245)、2018/2/19(Vol.265)