事業承継の画像

事業承継は何から手を付ければよい?

Q:どの様に事業を引き継げばよいですか?自らの手で会社を作って20年が過ぎました。

何とかここまでやってこれましたが、私も60歳に近づいてきたので、事業を誰かに引き継ぎたいと思っています。
息子を呼び戻してもよいですし、今の社員の中で次の社長をやりたいという意欲のある社員に任せてもよいとも思っています。

そもそも事業承継を考える場合、何からどのように手を付ければ良いのでしょうか?

 

A:事業承継対策は大きく分けて2つのステップで進めます。

1)経営そのものの承継

一番重要なのは「経営理念の承継」であり、創業社長と同じような想い・志・価値観で仕事をする様に「理念の承継」をしなければなりません。これがまずは大前提です。そのためには経営理念を明確化した上で、しっかりと想い・志・価値観を伝える必要があります。

次に後継者に対して、経営ノウハウの承継が必要です。経営者として必要な業務知識・経験・人脈・リーダーシップ・交渉力などを後継者に教え、身につけてもらう必要があります。

2)自社株や事業用資産の承継

自社株や事業用試算の承継については2点について検討をする必要があります。

Ⅰ. 自社株式や事業用資産の後継者への集中と遺留分への配慮

後継者が安定的に経営をしていくためには、後継者に自社株式や事業用資産を集中的に承継させることが必要です。経営者に子どもが複数いて、そのうちの一人を後継者とする場合には、後継者でない子どもの遺留分(民法上約束されている相続財産を受取れる権利)を侵害することがないように、自社株式や事業用資産以外の財産を後継者でない子どもが取得できるようにして、相続紛争を防止するための配慮が必要です。

Ⅱ.事業承継に際して必要な資金の確保

中小企業においては、経営者自身が自社株式の大半を保有していたり、土地などの個人資産を会社や自らの事業の用に供している場合が珍しくありません。

上述のとおり、後継者が安定的に経営をしていくためには、後継者にこれらの自社株式や事業用資産を集中的に承継させることが必要ですが、後継者でない子どもの遺留分に配慮すると、どうしても自社株式や事業 用資産を後継者に集中できない場合もあります。この場合には、後継者あるいは会社が他の相続人から自社株式や事業用資産を買い取らなければならなくなります。

また、経営者の保有する自社株式や事業用資産を後継者一人が相続し、相続人間で紛争が生じなかったとしても、後継者には多額の相続税が課される場合があります。

このように、事業承継に際しては、後継者や会社は、自社株式や事業用資産の買い取りや相続税の納付のため、多額の資金が必要になる場合があります。事業をスムーズに承継するために、事前に、これらの必要な資金の確保をしておくことも大事なポイントです。

事業承継の対策について、お気軽にご相談・ご質問下さい。

 

事業承継対策の大きな落とし穴

Q:後継者への自社株贈与は要注意将来の事業承継を考えて、私(経営者)が100%持っていた自社株を毎年少しずつ、後継者である長男へ贈与して来ました。

おかげさまで事業も順調なので、税理士から自社株評価が高くなる前に対策をしておいた方が良いとのアドバイスで贈与をしているのですが、違う税理士から自社株の贈与は、方法を間違えると対策にならないケースもあると聞きました。

自社株を毎年贈与する事業承継対策は間違えていたのでしょうか?

 

 

A: 事業承継対策にはなりますが争族対策にはならない可能性があります。

経営者が保有されている自社株を、少しずつ後継者へ生前贈与される事は、後継者が事業を行う際の「会社支配権」を確実に持つという点においては事業承継対策になると言えます。ただここで注意しなければいけないのは、生前贈与分に対する相続財産の「遺留分」についてです。

本来、自分の財産は誰に、どのようにあげるのも自由なはずですが、民法は、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、相続人(兄弟姉妹を除く)に最低限の相続の権利を保障しています。

これが「遺留分」で、被相続人からの生前贈与や遺言などによって、他の人が過大な財産を取得したために自分の取得分が遺留分より少なくなってしまった場合には、その人が贈与された財産などを取り戻すことができます(遺留分減殺請求権)。

ところが、この遺留分が、中小企業の円滑な事業承継にとって大きな制約となっているのです。

中小企業の経営者の場合、その個人資産の大部分が自社株式や事業用資産ですので、相続人が複数いる場合、経営者が遺言や生前贈与によって後継者に自社株式や事業用資産を集中して承継させようとすると、他の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性があります。

それでも強行しようとすると、遺留分を侵害された相続人から遺留分の減殺請求を受けて、相続紛争の原因となったり、結果として、自社株式や事業用資産が分散してしまうので、事業承継にとっては大きなマイナスとなります。

経営者から後継者に自社株式が生前贈与された場合、何年前になされたものであっても「特別受益」として遺留分算定の基礎財産に加えられますが、その基礎財産に加えられる金額は、贈与された時点ではなく、経営者の相続開始時点での評価によります。

従って、例えば、贈与を受けてから相続開始時までの間に評価額が上昇していれば、上昇後の評価額が贈与を受けた額となって基礎財産に算入されるのです。

しかも、その評価額の上昇について、贈与を受けた後継者の貢献があったとしても考慮されません。このため、自社株式の贈与を受けた後、後継者が経営に尽力して会社の価値を上昇させればさせるほど、他の相続人の遺留分の額を増加させる、というジレンマに陥ることとなり、会社経営に対する後継者の意欲を削いでしまうおそれがあります。

相続人が複数いる場合の自社株贈与は、この点を注意する必要があります。但しこの自社株の遺留分に対する対処法はいくつかありますので、詳しいご説明をご希望される方は弊社までメール又はフリーダイヤル(通話料無料)でお問い合わせください。

 

 

事業承継対策の切り札

Q: 私(経営者)が病気になり、このまま経営を続ける事が困難な状況になりました。早急に事業承継をしたいのですが、息子は未成年のために現時点では後継者に出来ません。

懇意にしている同業者が事業をM&Aにて引継ぎたいとの申し出を貰ってはいます。

ただ事業を譲渡すると、私の病状が回復した場合や、息子が事業を継ぎたいという場合には困るのでどうすれば良いか悩んでいます。

良い方法はありませんか?

 

A:事業信託という手法を使えば解決出来ます。

民事信託の手法を活用すれば、円滑に事業承継を行う事が可能です。

具体的には、委託者を御社・受託者を同業の他社・受益者を御社に設定をした民事信託を設定する事により、御社の事業と事業関連債務を一旦同業の他社が引き受ける事になります。

※ もちろんこの場合、債務に関する連帯保証等については金融機関との調整は必要になります。

この事業信託の場合、契約期間や一定の解除条件を付けておけば、経営者の病状回復や、後継者が会社を継ぐ場合には信託契約を解除すれば、元通りにする事が出来るので、「後戻りが出来るM&A」と言えます。

さらに一定期間後には、事業を受託した企業が事業全体を買収する事も可能になるので、非常に融通が効く手法として信託法の改正以後は民事信託が注目をされています。

この民事信託は、相続税や事業承継に掛かる税額を安くするという効果はあまり期待出来ませんが、円満かつ円滑に相続や事業承継を行うという簡単においては、かなり活用が出来る制度です。

最近では「相続・事業承継対策における切り札」として注目されている民事信託について、ご相談・ご質問は下記よりお願いします。民事信託に経験豊富な専門家をご紹介します。

 

 

後継者がいない場合の事業承継は・・・?

Q:私(経営者)の体力が落ちてきてそろそろ誰かに事業承継をしたいと思っているのですが、身内・社内になかなか適当な後継者がおりません・・・

このような場合の事業承継はどのようにすれば良いのでしょうか?何か良い方法があれば教えて貰えませんでしょうか?

よろしくお願いいたします。

 

A:後継者がおられない経営者のために「今何をすればよいのか?」

世の中には、事業承継対策や相続対策にお悩みなオーナー経営者は数多くおられます。そんな中で、「誰を後継者にするのか?」はオーナー経営者にとって非常に悩ましい問題の1つです。

この後継者問題をもう少し詳しく見てみますと、次の5点に該当する場合には、慎重に対応をしなければなりません。

1.お子様(または適当な親族)がおられない場合

2.お子様(または適当な親族)はおられないが、取締役又は従業員の中に後継者候補がいる場合

3.お子様(または適当な親族)がおられても、事業を承継しない場合

4.お子様(または適当な親族)がおられても、年齢に問題がある場合

5.お子様(または適当な親族)がおられても、経営者としての資質に問題がある場合

それぞれの場合によって取るべき手法は違いますが、根本の問題はすべて同じで、「良い会社」かどうか?によります。

ちなみに「良い会社」の定義としましては、

1.利益が出ている会社

2.老舗の会社

3.有名な商標を有する会社

4.有力な商圏を有する会社

5.一等地の不動産を有する会社

6.成長性が期待できる事業を営む会社

7.市場占有率が高い会社

8.有望な知的財産権を持っている場合

9.有利な独占契約を持っている場合

10.有利な仕入れ又は販売に関す契約を持っている場合

のいずれかに該当するか?になります。

ただ「良い会社」の判定も含めまして、すべては個別事情によりますので、ご興味のある方は個別にご相談を頂ければ対応をいたしますし、必要があれば百戦錬磨の公認会計士をご紹介いたしますので、お気軽にご相談下さい。

 

事業承継の盲点

Q:会社をそろそろ息子に譲ろうと思い、数年前から準備を始めています。

おかげさまで最近では、比較的業績も安定してきており、息子にいい形でバトンを渡せそうです。

顧問税理士からは、自社株の評価が高いので早めに贈与・買取等で息子に株式を渡して行った方が良いとアドバイスをされました。

ただあまりに早く株式を息子に渡すと不都合もあると聞きましたがどのような事が考えられるのでしょうか?

 

A:事業承継対策の盲点が後継者の急逝です。

事業承継対策の根幹は、まず経営方針や理念を後継者と共有し、実務レベルでの業務を引き継ぐ事が最優先です。これに目処が立てば会社の株主としての地位をどのように引き継ぐか?がポイントになります。

特に業歴が長く、業績の良い会社の場合には、自社株の評価が高額になっているケースが多いために、株式を引き継がせる場合に買取資金や税金等の多額な負担が生じるケースが多くあります。

このためにこの負担を軽減・分散させるために、早期から後継者に株式を贈与・譲渡を検討し実行されるケースもありますが、これについては非常に注意が必要です。社長よりも後継者が事故や病気等で急逝した場合に非常にやっかいな問題になります。

例えば、後継者を息子にと目論み、生前贈与等を活用して株式を息子に渡していったとします。この息子が不幸にも先に急逝した場合、息子が既婚者でお子様がいると、息子が保有していた株式は法定相続人である息子の妻ならびに子供(孫)に株式が相続されてしまいます。最終的に孫に会社を譲るのであれば問題はないのかも知れませんが、それまでの間の経営に対する支配権の問題が発生するので得策ではありません。

このようなケースの場合、会社または現オーナーが時価額で相続人から買い戻す事も想定しておく必要があります。このような最悪の事態も想定して事業承継対策を検討し実行する必要があります。

事業承継を検討される場合には、後継者の万が一に備えて後継者にもある程度の生命保険金を手当てしておく事をオススメいたします。

 

画期的な事業承継税制の改正

Q:先日発表された平成30年度の税制改正案に事業承継に関する税制が変わるとの新聞報道を目にしました。

具体的にどのような変更なるのでしょうか?教えてください。

 

 

A.平成30年度から経営者にとって有利な改正が予定されています。

12月14日に自民党より平成30年度の税制改正大綱が発表されました。何と言っても今回の目玉は事業承継税制の大幅な見直し案です。

まずはその原文をご紹介します。

(2)事業承継税制の拡充

中小企業経営者の年齢分布のピークが60歳台半ばとなり、高齢化が急速に進展する中で、日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上は、待ったなしの課題となっている。こうした中で、事業承継税制について、10年間の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充を行う。

具体的には、施工日後5年以内に承継計画を作成して贈与・相続による事業承継を行う場合、①猶予対象の株式の制限(発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合を80%から100%に引き上げることにより、贈与・相続時の納税負担が生じない制度とし、②雇用確保要件を弾力化するとともに、③2名又は3名の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大し、④経営環境の変化に対応した減免制度を創設して将来の税負担に対する不安に対応する等の特例措置を講ずる。こうした特例措置を講じるに当たっては、租税回避が助長されないよう、制度面・運用面で必要な対応を行う。

(引用終わり)

本文にもありますように、経営者の高齢化が進むに連れて事業を次世代へ承継する際に自社株の評価が高くなっている法人にとっては、贈与税・相続税負担が大きな障害となっていました。

この対策として、平成24年より実施されてきた経営承継円滑化法と関連する税制が制定されてきましたが、あまり適用が進んでいないための本年に引き続き、来年度に大幅な改正に踏み切る流れとなった様です。

今まで、納税猶予の対象となっていた株式割合が80%だったものが100%へ広がると同時に、一定割合の雇用を確保しなければならなかった要件も緩和される見通しとなりました。

これは自社株の多くを保有している中小企業経営者にとっては朗報で、今までの事業承継・自社株対策を見直す必要があるかも知れません。

本制度につきましては、詳細情報が入りましたら本メルマガにてまたご紹介を致しますが、内容につきましてご興味のある方は弊社へお問い合わせください。

 

事業承継税制の落とし穴

Q:平成30年度の税制改正で、中小企業経営者が持っている自社株を相続や贈与で後継者に渡した際の相続税・贈与税が免除になると聞きました。

非常に良い制度のように思うのですが、注意点などがあれば教えてください。

 

 

A.相続税&贈与税の免除はありますが、引き続き自社株の評価額には注意が必要です。

今回の事業承継税制の概要につきましては、本メルマガ2017年12月25日配信の「vol.260」をご参照下さい。

今回の制度で一番注意すべき点は、経営者の相続が発生した際の相続税計算についてです。確かに一定条件を満たしていれば、自社株を引き継ぐ後継者が負担すべき相続税が一旦は猶予され、一定期間が経過したのちに免除となります。

これはあくまでも相続税が免除されるだけであって、相続税計算時には自社株も含めた全ての資産と負債を対象に相続税が計算をされて、そのうち自社株に掛かる部分の相続税が猶予・免除されるということになります。

つまりは、自社株に対する相続税負担がないからと言って、自社株の株価対策を何もしていない状態で放置し、自社株評価額が高くなってしまっていると、自社株以外の資産に対する相続税は高い税率が課せられることになります。

ですから、今回の制度はあくまでも自社株に関する相続税だけの制度ですので、全ての相続に対して有効な制度であるとは言えません。

例えば子供が2人いて、1人は会社を継ぐので自社株と事業用不動産を相続し、もう1人の子供が事業用でない土地や預金・有価証券などを相続するという場合、相続税計算は自社株も含めて全ての財産で一旦計算をし、その後にそれぞれが負担すべき相続税額を計算する際に自社株にかかる相続税が猶予されるという流れになります。

すなわち事業用不動産や事業用でない土地、預金・有価証券に関する相続税は自社株も含めて計算がされていますから、この自社株の評価が高いと、事業を継がないお子様は相続税負担が不必要に高くなる可能性があります。

事業承継税制が整備され、中小零細企業の承継が進みやすくなると報道がされていますが、だからと言って自社株の株価対策や相続対策が不要になる訳ではありませんのでご注意ください。

 

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
2014/6/23(Vol.19)、2014/7/14(Vol.25)、2014/10/23(Vol.49)、2014/11/20(Vol.56)、2015/2/23(Vol.78)、2017/12/25(Vol.260)、2018/3/5(Vol.267)