契約者変更の画像

契約者変更のリスク

Q:保険営業マンから法人で契約した生命保険について、個人に契約者を変更する仕組みの提案を受けました。
非常に面白い仕組みの様に感じましたが、税務上のリスクはないのでしょうか?

 

A:各種リスクがありますので、ご注意が必要です。

法人で契約した生命保険契約を、個人へ契約者変更をする仕組みは多くの保険営業パーソンが提案している仕組みです。もっとも代表的な保険商品としては、逓増定期保険や終身医療保険を活用した仕組みです。

逓増定期保険の場合は、解約返戻金が低い時点で法人から個人へ契約者変更をしてその後、何回かは個人で保険料を支払ったのちに解約をする事を想定しています。この場合、契約者変更をする時点での解約返戻金相当額を「時価額」として評価をして個人から法人へ対価を支払う事になります。

この流れの中での問題点としては、法人が保険料を支払った逓増定期保険料のうち一定割合で「前払保険料」として資産計上がされているので、契約者変更をする時点での「時価額」と資産計上額との差額が「契約者変更損」として計上する事で法人利益が減少する事です。

このために、逓増定期保険を個人に契約者変更する際には、「なぜそのような取引を行ったのか?」という理由が客観的にみて合理性のあるものでなければ、税務調査時に指摘されるリスクがあります。

もちろん、個人で解約した際に受け取った解約金は一時所得課税の対象となりますので、この点もご注意ください。

次に終身医療保険等を法人で保険料負担を行い、途中で個人に契約者を変更する仕組みについて説明を行います。

一部保険会社の保険商品においては、終身医療保険の保険料を法人が支払った際には、支払保険料の全額を損金計上して良いとされている保険商品があります。この様な保険商品であれば、法人から個人へ契約者を変更する際の時価額(解約返戻金)は0円であるために、何の対価もなく個人が契約を受け取る事が出来ます。さらに法人では資産計上をしていないので、契約者変更に伴う雑損失も発生しません。

この終身医療保険についての問題点は、平成27年の税制改正において次の様に改正がされました。

「生命保険契約等の一時金の支払調書等について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。(注)上記の改正は、平成 30 年1月1日以後の契約者変更について適用する。」

ここで問題になってくるのは、平成30年以後に契約者変更をした終身医療保険で入院・手術等で給付金を受け取った際の課税関係です。現状の税制では、個人が支払った保険契約に基づいて受け取る医療保険等の給付金は非課税とされています。ですが、平成30年以後は前契約者である法人が負担したことが税務署に提出される支払調書に明記されますので、この場合に給付金受取時の課税がどうなるのか?この点は不明瞭のままですので注意が必要です。

さらには、一部保険会社にて高額な医療や介護・死亡保障がついた終身医療保険を法人から個人に契約者変更をする仕組みもあるようですが、この場合には逓増定期保険と同様に「なぜこのような取引をしたのか?」という点と、終身医療保険と同様に「支払調書の明記」という二重のリスクを背負うことになりますので、くれぐれも慎重にご検討下さいませ。

これら、契約者変更プランの導入に関するご相談や、既に導入されているプランに関するご相談は無料で対応いたしますので、お気軽にご相談下さい。

 

 

2018年以降の契約者変更は要注意

Q:2018年以降の契約者変更は要注意?

来年から生命保険契約の契約者変更について税務上のルールが変わると聞きました。
何がどのように変わるのか具体的に教えてください。
そして何か注意するべき点があれば教えてもらえませんか?

 

A.平成30年1月1日以降に契約者名義を変更した生命保険契約に適用されます。

平成27年度の税制改正にて、平成30年1月1日以降に契約者名義を変更した生命保険契約に関する支払調書のルールが変更になります。

「支払調書」とは、生命保険契約を解約した際や、保険金・年金などを生命保険会社が支払った際に保険会社から発行されるのが「支払調書」です。

この支払調書は契約者や保険金受取人に対してだけでなく、所轄税務署に対しても発行されますので、税務署側でも誰が幾ら受け取ったのかを把握する事が出来ます。そして平成30年1月日より支払調書に記載される内容が変更になります。

具体的に何がどう変わるか?を説明しますと、

・  平成30年1月1日以降に契約者名義を変更した生命保険契約について記載内容が変更になります。

・  変更内容は以下の項目が追加されます。
1.支払時の契約者の直前の契約者の氏名・住所
2.契約者変更の回数(平成30年1月1日以降の変更回数)
3.支払時の契約者の既払込保険料
4.死亡した契約者の氏名・住所・死亡日
5.新契約者の氏名・住所
6.解約返戻金相当額
7.既払込保険料(総額)
8.死亡した契約者の既払込保険料

これにより、契約者名義を変更した保険契約については、名義変更前と後で誰がどれだけ保険料を負担したかが明らかになります。また法人から退職金の一部として現物支給を受けた保険契約なども、保険料負担者が明確となります。

具体的は以下の契約が影響を受けると想定されます。

・  平成30年1月1日以降に契約者が死亡をして、その契約を相続するケース。
・  平成30年1月1日以降に契約者を法人から個人へ変更する事を予定している契約。

支払保険料や受取保険金に関する課税関係は変わりませんが、終身医療保険などを法人で契約して、法人で支払った保険料を損金計上し、一定期間経過後に個人へ名義変更する事を予定している様な契約は注意が必要になります。

該当契約がある場合には、ぜひご相談ください。ご相談は無料です。

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
2015/4/27(Vol.96)、2017/11/13(Vol.254)