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相続財産が消えた?

Q:消えた相続財産はどうなりますか?

父が他界し遺産として残った現金・預金を次男が確認したところ・・・。
1億円程度の現預金があると聞かされていたのに半分程度しか残っていません。
父の顧問税理士に相談しましたが、預金通帳からは死亡前後に大金が出金されてるような事もない様です。

疑問が解消しない次男は、預金調査に詳しい税理士に依頼したところ、過去10年程度のすべての預金の出入りを確認してくれました。

その結果は・・・・。
22年間のキャリアを持つ元『国税庁税務調査官』がお答えします。

 

A:事業をしている長男に8年前から3年前まで数回に分けて5,000万円を送金している事実が判明しました。
長男はこのお金を自分のお金として、自身が経営する会社に貸し付け、運転資金に使っていました。3年前の事に付き、相続税の対象とはなりません。もちろん民法上の遺産分割協議の対象とはなりますが・・・。

次男が、あらかじめ1億円の現金・預金があると聞かされていたので行動に移り、ウラを取ったため判明しました。このケースは、父親の財産を長男が自分の経営する会社の『貸付金』と消えてしまった事例です。

同じように兄弟のいずれか一方が事業を経営され、父親の生前中財産を出資金として出資していた場合もあります。

別の事例では、次男は輸入雑貨を扱う会社を経営していましたが、資金繰りは火の車のようでした。しかし、日々の生活は派手で、お金に困っている様子はなく、長男は日ごろからその生活ぶりを不審に思っていました。父の死後、預金を確認したところ、5年前に数千万円が引き出されており、どこに消えたのか分からない状態でした。

不審に思った長男が次男を問い詰めたところ、生前、父に会社への援助を頼んでおり、3,000万円の資金を増資として出してもらっていたことが判明しました。

会社はその後も業績を回復することはなく、父の顧問税理士に確認したところ、3,000万円の出資は事実上無価値になっていました。また、税理士によれば、父の増資の資金のおかげとはいえ、事業活動をしていた以上、次男がもらった役員報酬は合法であり、回収は困難とのことでした。

この様に相続財産がなくなってしまっている事例があります。相続対策は、納税資金準備や遺産分割対策などだけでなく、資産保全についても合わせて検討をする必要があります。

 

相続財産が消えた?〜その2〜

Q:消えた相続財産はどうなりますか?

二人姉妹の次女には高校生から大学生の3人の子供がいました。夫の給料だけでは生活は苦しいようで、次女は、度々実家を訪問し母に愚痴をこぼしていたようです。不幸にもその後に、母が他界。

遺した財産を調べてみると所有していた有価証券はここ数年で全て売却されていました。不審に思った長女が次女を問いただしたところ・・・・。

22年間のキャリアを持つ元『国税庁税務調査官』がお答えします。

 

 

A: 教育資金と生活資金は贈与税の非課税財産ですが、遺産分割の問題とは別です。

子供の学費、また現金で生活費を援助していた事実が判明。返還するよう迫った長女に対して「親族間は互いに扶養する義務がある」と次女は主張。まして今さら金額もわからないと返還に応じませんでした。

「親族間の扶養義務」(贈与税の非課税財産)

第21条の3 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。

二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

【一と三以下は省略】

相続税法21条3の2項では「贈与税の非課税財産」として扶養義務者間では生活費、教育費等で通常必要と認められるものについては贈与税を非課税とすることになっています。

では扶養義務者とはどういう人なのでしょうか?

直系血族…本人からみると両親、祖父母、曾祖父母・・。兄弟姉妹。家庭裁判所の審判で3親等内の親族

今回のケースでは母親から生活費、学費を援助されていた次女家の資力は問われることなく親が負担した費用は、非課税となります。(後々姉妹間で遺産分割で揉めること事は、不可避ですが・・・)

通常必要と認められる費用かどうか?は問題にはなります。

例えば

・大学入学の際での入学金・授業料は非課税。
・入学お祝い金が、贈与税の非課税枠(110万円)を超えていれば 課税対象。

2013年より1500万円の教育資金の一括贈与による贈与税非課税制度がクローズアップされていますが実は、以前から教育資金は非課税でした。おまけに生活費も非課税です。

*表向きは税制緩和に見えますが、実際はどうか?検討される際には、専門家に相談することをおすすめします。

 

現金化出来ない相続財産

Q:経営者は現金化出来ない
相続財産をたくさん持っているので
相続対策は念入りに行う必要があると
聞いた事があります。
具体的にはどのような財産で
何をすれば良いのでしょうか?

A:経営者はプラスの財産もマイナスの財産も多く抱えています。

保有している財産のうち、現預金や有価証券・不動産などは非常にわかりやすい「財産」と言えますが、経営者において注意しなければならないのは、プラスの財産としては「法人への貸付金」と「自社株」であり、マイナスの財産としては「借金の保証人」です。

中小零細企業の経営者が、自社の資金繰りのために自らの現預金を取り崩して法人へ貸付をしているケースは非常に多いです。実際に法人のお金も「自分のお金」という認識でおられる経営者の方も多いので、意識をされている方は少ないですが、「法人への貸付金」は立派な「金銭債務」となります。

この「金銭債務」は、経営者に万が一の事が発生した場合には、「相続財産」としてみなされて相続税の課税対象となりますし、法定相続人への遺産分割の対象財産となります。実際に法人においては、経営者の「死去」という非常事態を迎えて経営的に大混乱をしている最中に、経営者の遺族から返済請求をされてしまいますと大きな経営問題に発展をする可能性があります。

ただこの「経営者からの借入金」は、銀行融資上は自己資本に組み込まれて査定がされるために、いかに減らして行くかは経営全体を見た中での対策が必要になります。

次に自社株ですが、未上場会社の場合には上場株式の様に市場で換金出来るものでもなく、さらには経営権に関わりますので、簡単に分散をさせる事も出来ないので非常に悩ましい点になります。

最後に一番注意をしなければならないのは「借金の保証人」です。法人での融資については、経営者個人が連帯保証をしているケースがほとんどですので、経営者に万が一の事が発生した場合には、法定相続人に保障債務は相続されてしまいます。このため経営に関係のない相続人に迷惑をかけるケースも十分に考えられますので、この点は金融機関との交渉により連帯保証を外す事や有事の際には借入金の一括返済が出来るように準備するなど事前の対策が必要です。 さらには知り合いや友人経営者の連帯保証などをしているケースがもしあれば、これは相続人に伝えておかなければ大きなトラブルに発展するケースもありますので、十分にご注意下さいませ。

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
現行の保険業法の改正等により変更となっている場合がありますことをご了承ください。
2014/5/12(Vol.7)、2014/5/15(Vol.8)、2015年6月4日(Vol.106)