セクハラで即解雇の画像

どこまでがセクハラになるのか?

Q:セクハラに関する報道を見かけますが、どこまでがセクハラとみなされるのでしょうか?
定義が曖昧なので、社員への接し方に悩みます・・・

 

A:セクハラに関して難しいのが、「本当にセクハラなのか?」という判断についてです。セクハラについては2つのパターンに分けることができます。

《対価型セクハラ》
職場などにおける立場、上下関係と自身の権限を利用し、下位の者に性的な言動や行為を行う(強要する)こと

《環境型セクハラ》
職場などにおいて行われる性的な言動、環境により労働者の就業環境が不快なものとなること(ヌードポスターなどの掲示等)

ただこの判断が非常に難しいのが実情です。そもそも、現状ではセクハラは被害者(主に女性)の「主観のみ」によって決められる場合がほとんどである為、セクハラの考え方に拡大解釈が生じて、些細な事にまで「セクハラだ!」と騒がれる事もあるのです。

それによって職場で「セクハラだ!」と騒がれないよう過度に気を使い、業務上で必要とされるコミュニケーションが円滑に進まない事もあるのです。

また、「主観のみ」によってセクハラか否かを一方的に区別される事を逆手に取って、単に気に入らない人間を陥れたり、嫌がらせをしたりする「便利な言葉」として扱われる場合も発生しているのです。

以上のことからセクハラに該当するか否かという判断はとても難しくなっているのです。

実際に、セクハラ被害が会社に報告された場合の対応を整理してみますとまずは、被害者、加害者からの聞き取り調査となります。この場合、多くは意見等が対立して判断に困るということになるのですが、以下のことを注意して調査をする必要があります。

・被害者が虚偽の供述を行う動機があるか?

・事実を正確に認識しているか?

・記憶がきちんとしているか?

・セクハラ行為の内容が具体的か?

・話の内容に整合性、一貫性があるか?


これらに留意して調査を進めていく必要があります。

そして、会社としての方針を出すことになります。もし、会社がセクハラ被害を放置してしまうと、さらなる裁判で処罰されるケースも出てきます。そのような状況に陥らないためにも、セクハラ被害の報告があったら、迅速、かつ、慎重に調査を実施しなければなりません。

さらに、就業規則にセクハラ行為は懲戒の対象と明記しないと、罰則を科せられなくなるのですが、就業規則の記載の仕方に注意です。就業規則の記載の仕方は、労務問題に詳しい専門の社会保険労務士などに相談をして進めて下さい。

就業規則の見直し等、セクハラ問題に関しては社会保険労務士をご紹介することもできますので、まずはお気軽にご相談下さい!

 

セクハラ保険

Q:職場におけるセクハラ・パワハラが一時期話題になり、最近ではマタハラ(マタニティー・ハラスメン)なる言葉まで登場してきました。

従業員の対応には非常に気を使っていますが、このような問題が発生した場合に適用される保険があると聞きましたがどのような内容でしょうか?

 

A:雇用慣行賠償責任保険という保険が対象になります。

雇用慣行賠償責任保険は、セクハラやパワハラ・不当解雇・差別など従業員側から会社が訴えられた場合に対応する損害保険商品です。近年の従業員意識や雇用環境の変化により、多くの企業において従業員が会社を訴えるケースが増えてきました。

この雇用慣行賠償責任保険は、従来から販売されていた保険商品ではありますが、近年のトラブル増加に伴い、各保険会社ともに商品開発に力を入れている保険商品の一つです。とくに最近では、会社が抱える第三者からの損害賠償請求に対するリスクを補償する保険に特約として付帯が出来る保険会社が増えて来ました。

この保険は簡単に説明をしますと、不当解雇、セクハラ・パワハラなどの不当雇用慣行が原因で発生した損害賠償請求の結果、会社・役員等などが負担する損害賠償金、争訟費用が支払われる保険です。

※保険会社によって多少、取扱内容が異なりますのでご注意下さい。

過去の事例としては、某有名企業において元上司が部下である女性に対して繰り返しセクハラ行為を繰り返した結果、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し退職をせざるを得なくなったとして裁判にて会社を訴え、2,700万円もの慰謝料を請求した事例もあります。最終的にはこの有名企業はこの元女性社員に対して、和解金1,300万円の支払いをして和解をしました。

※ 和解金の半額について、会社は元上司に損害賠償請求を行ったと報道されています。

なおパワハラについては、某金融機関において会社が4,000万円もの和解金を支払った事例もあり、セクハラ・パワハラともに高額な損害賠償・和解金が請求されるケースが出てきました。このような高額賠償に対応するために損害保険の活用は、会社を守る上でも非常に重要なポイントであると言えます。

パワハラ・セクハラ等の対策として、保険はあくまでも実際に発生する費用負担を補償するものであり、普段の社員教育や社内罰則規定の制定・周知徹底などを行うことで未然に防ぐための対策が最重要であることは言うまでもありません。

社内研修や規定については、専門家をご紹介いたします。保険に関するご相談も承りますので、詳しくは弊社までお問い合わせ下さいませ。

 

 

セクハラ=即解雇は妥当か?

Q:当社にて、部下が上司からセクハラを受けたとの主張がありました。
セクハラは断じて認められない行為であり、当事者を解雇しなければならないと考えています。
セクハラ=解雇は問題ないですよね??

 

A.ハラスメント=解雇は出来ません。冷静な状況判断が必要になります。

現在においては、セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)やパワーハラスメント(いか、パワハラ)といったハラスメント行為が認められないという事は社会的に認識がされています。

なおセクハラやパワハラという主張が全て認められて、相手側が罰せられる訳ではありません。その程度や行為によって個別判断となります。ただし、セクハラやパワハラ等の行為を禁止する条文を就業規則にきちんと盛り込んでおく必要はあります。参考までに条文例を掲載します。

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(セクシュアルハラスメントの禁止)

第〇条 セクシュアルハラスメントは、同じ職場に働く従業員の働く意欲を阻害し、職場の秩序を乱し、職場の環境を悪化させるものであり、従業員はいかなる場合でもセクシュアルハラスメントに該当するか、該当すると疑われるような行為を行ってはならない。なお、セクシュアルハラスメントの相手方については、異性のみならず、同性も該当する。

 

2.セクシュアルハラスメントとは、相手方の意に反する性的言動で、それによって仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えるもの又は就業環境を悪化させるものをいう。

 

(1) 人格を傷つけかねない、又は品位を汚すような言葉遣いをすること

(2) 性的な関心の表現を業務遂行に混交させること

(3) ヌードポスターや卑猥な写真及び絵画類等を見ることの強要や 配布又は掲示等をすること

(4) 相手が返答に窮するような性的な冗談やからかい等をすること

(5) 私的な執拗な誘いを行い、又は性的な噂若しくは経験談を相手の 意に反して会話をすること

(6) 性的関係の強要、不必要な身体への接触又は強制猥褻行為等を 行うことの他相手方の望まない性的言動により、円滑な職務の遂行を妨げると判断される行為をすること

 

3.従業員は、他の従業員の性的な言動に起因する問題により被害を受けた場合、会社に対して相談及び苦情処理を申し立てることができる。これらの申立てを受けた者は、速やかにその旨の報告、事実関係の調査に着手するとともに、申立人が申立後も性的被害を受けないように対処しなければならない。なお、相談窓口担当者以外の従業員が、同様の相談を受けた場合、本人の了承を得たうえで相談窓口担当者に相談を行う等、被害を受けた従業員の不利益にならないよう細心の注意をもって対応しなければならない。

 

(パワーハラスメントの禁止)

第〇条 パワーハラスメント(本規則において、社会的身分や職権等権威又は権力を背景として、本来業務の適切な範囲を超えて継続的に人格や尊厳を侵害する言動又は行動を行い、職場環境を悪化させ、又は他の従業員に雇用不安を与える行為等をいう)は、心身の健康や職場の士気を低下させる行為であり、従業員はいかなる形でもパワーハラスメントに該当するか、該当すると疑われるような行為を行ってはならない。

 

(マタニティハラスメントの禁止)

第〇条 従業員は、職場において、他の社員の妊娠、出産、育児または介護に関する言動、並びにこれらを理由とする休業または措置の利用等の妨げとなるような言動を行い、当該従業員の就業環境を害してはならない。

 

2.従業員は、前項の言動または類似する形態の言動により、他の従業員の有する具体的職務遂行能力の発揮を阻害し、またはそのおそれを発生させるようなことがあってはならない。

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特に最後のマタニティハラスメント(以下、マタハラ)は育児休業法改正で定められましたので、就業規則に記載がない場合には早急に追加する必要がありますので、ご注意ください。

これらを規則上に明記をした上で、ハラスメントがあったと主張される事も想定をしておく必要があります。ただし注意が必要なのは、仮にハラスメントがあったと当事者同士が認めたとしても、すぐに解雇をしてはいけません。

なぜなら過去の裁判例でも、セクハラ・パワハラとお互いに認める行為があったために、当事者を解雇した事が不当だと裁判所が判断した事例があります。
この事例では、セクハラ行為とパワハラ行為があったと裁判所も認めましたが、パワハラについては回数的に少なく、業務上の指導として行き過ぎとは言えないと判断され、セクハラについては、悪意性が高いとも言えず、本人も反省をしているので解雇は厳しすぎると判断されました。

ですから、ハラスメントがあったとなると感情的な判断をしてしまいがちですが、これは非常に危険な事で、実際にどのような内容であったのか?を冷静に判断する必要があります。その状況によっては、ハラスメント行為=解雇という処分が不当だとされる可能性も十分にあることにご留意ください。

 

 

子会社でのセクハラは親会社の責任?

Q:当社は女性が多い職場なのですが、この度、子会社を設立して新規事業に乗り出すことを決めました。
そこで気になるのがセクハラ対策です。
もし子会社でセクハラが起きた場合、親会社の責任が問われることがあるのでしょうか?

 

A.実態によりますが、基本的には親会社も責任が問われると考えて対策を講じてください。

最近ではセクハラ・パワハラだけでなく、マタハラ( マタニティハラスメント=妊娠や出産に関する嫌がらせ) ・パタハラ(パタニティハラスメント= 男性社員の育児休業に関する嫌がらせ)といった「ハラスメント」が職場で問題視されるケースが非常に増えています。

特にセクハラ(セクシャルハラスメント)は、これだけ社会的に注目をされていても、相談件数は増え続けています。

2016年に厚生労働省が初めて行った職場のセクハラに関する調査では、調査対象である25歳から44歳までの女性労働者約を対象に行い、その結果約30%の女性社員がセクハラを体験しているという結果がでました。

※  調査結果はこちらのページでご確認いただけます。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20160301.pdf

しかもセクハラを受けた人がとった対応のトップは、「我慢した・特に何もしなかった」が60%となっており、これはいろいろな要因が考えられますが、その一つに会社側の体制上の問題もあると思われます。そのために会社側も相談窓口を設けて、セクハラへの対応を行っている会社も増えていますが、ここで問題になるのが、子会社がある場合にどう対応すればよいか?という点です。

基本的には、子会社についても親会社の相談窓口が対応する様な仕組みを構築しておく必要があり、子会社で発生したセクハラについても親会社が管理責任を負うと考えておいた方が良いかと思います。

実際にセクハラが発生した場合には、親会社と子会社の関係や、管理の実態などが問われる事になると思いますが、実態によっては親会社側にも安全配慮義務違反が問われる可能性は否定できません。

ですから、「子会社のことは知らない」「子会社だから関係ない」ではなく、人的・資本的関係が多少なりともあるのであれば、グループ全体でセクハラ対策は取り組んでおいた方が良いでしょう。

 

※この記事は過去にメルマガで配信した内容です。
法改正等により、現状とは異なっている部分がある可能性がありますことをご了承ください。
現行の保険業法の改正等により変更となっている場合がありますことをご了承ください。
2015/3/12(Vol.83)、2015/7/9(Vol.116)、2018/4/16(Vol.273)、2018/7/2(Vol.283)